プロポーザル部門 優秀賞
北潟寛史 清野新 伊藤遼太(東京大学大学院)
左から伊藤遼太氏,北潟寛史氏,清野新氏.
共生のニワ
喫煙を循環の中のひとつと位置付け,多様な行為を受け入れる透明な空間を設計した.排気を利用して積極的な循環を生み出すダクトを設計.天井付近の排気で煙を床下へ送り,床下の土壌がそれを分解する.ダクトの配置により透明な一室空間の中に,さまざまなグラデーションがかかり,それによってそこにいる人の行為が誘発される.木立の中に場所を見つけるように,喫煙者及び非喫煙者が仕切られることなく分煙が実現され,たばこを吸う人は,まるで新鮮な空気に満ちた木立の中にいるような感覚になるだろう.たばこの香りの後に,土や草のかすかな香りが肺を満たす.
ダクトがつくり出す循環が自然な分煙空間を形成し,やがて人びとの行為はこの小さな生態系の中に組み込まれる.