プロポーザル部門 佳作
森川啓介(フリーランス)
森川啓介氏.
単なる喫煙室でしかないようなあり方では,ビルの足下の公共性の高いこの場所にはそぐわないと感じた.そこで,壁で隔離するわけでも機械音が鳴り響くわけでもない,他の空間と同じような過ごし方ができる,もっと自然なあり方の空間ができないかと考えた.
天井面に山と谷のある空間をつくっている.山と谷により勾配ができる.この勾配に沿って煙は山頂へと流れていく.つまり,煙が上昇して障害物に沿うという基本的な性質を活かしたきわめて自然な集煙が可能となる.そして,勾配面に孔を設けることで,煙を効率よく排気することができるのである.また,天井高の低い場所では,天井は垂れ壁として機能し,隣室への煙の流出を防ぎ,外部からの煙の目隠しにもなる.
単なる喫煙室という枠組みを超えた新しい分煙空間になると考えている.