プロポーザル部門 佳作
阿部駿也(法政大学大学院) 高松達弥(石本建築事務所)
左から高松達弥氏,
阿部駿也氏.
穿つ痕跡
旧博報堂は風格ある「表情」があった.歴史的価値あるものの継承の仕方は今日の課題でもある.そこで私たちはその「表情」に着目し,新たな価値を添える.今回復元される「表情」のリズムを継承しながら柱を連続させていく.この柱は構造の意味は持っていない.そこで新たに「場を作る」という意味を持たせるために柱を穿つ. この穿った柱に給気と排気の風の流れをつくり煙の道をつくり出す.穿たれた穴は椅子となり,喫煙場所としても機能する.柱は建築内部まで入り込み,緑溢れた外部と内部の境界を曖昧にする.この柱は内外,喫煙者と非喫煙者を曖昧にしながらも,分煙させることが可能となる. 今日の「表情」をただ復元するのではなく,新たな境界として意味を与えることで,歴史的価値は受け継がれていく.