新建築 2021年8月号発売となりました !

新建築ライブラリー 第13回:『建築昭和史』その13

当社の96年におよぶアーカイブから、絶版本を中心に紹介する「新建築ライブラリー」。前回に続き、『建築昭和史』(1977年、著:佐々木宏)の第3章「昭和13年から昭和19年までの状況」をご紹介します。

以下、本文より抜粋
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こうした建築デザインの劇的な変化の中で、まるで別世界にでもいるように独自の作品を発表しつづけたのは吉田五十八である。第2次大戦になってから後も、富裕な施主の住宅を、いわゆる新興数寄屋のデザインで建てていたようである。

このような特別な場合を除いて、戦争が次第に激しくなるにつれて、建設活動が資材の面で低下し、掲載する作品が減少して行く。こうなるとデザイン以前の問垣である。編集者たちの苦悩が深まって行くのが誌面からうかがわれる。東京オリンピックに対して、その計面案の特集を組んで準備していたが、これは実現しなかった。この開催予定年には紀元二千六百年奉祝式典場ができただけであった。また民間の建築の数は激減し、掲載できるのは官公庁の建物が多くなって行く。 それも本格的なものは少なく、仮設的なものばかりであった。

ともすれば単調になりがちな誌面を活気あるものにしようという編集者たちは、さまざまな特集を試みる。まず、オリンピック計画案の次に、ル・コルビュジェ特集──これは彼の作品集の第3集〈1934-1939〉を基にしたものである。

ル・コルビュジェ特集(1939年8月号)

続いて、モニュマン特集、東京市社会事業施設特集、都市計画特集、工場特集、新しき都市特集、厚生施設特集、 30坪小住居特集、労務者住宅(世帯向)特集、同じく(独身者向)寄宿舎特集、傷痍軍人及一般医療施設特集、国民錬成所・戦時養成所特集、新形式木構造特集、母子援護施設特集、事務所建築特集、中京に於ける社会施設特集などがその主なものである。
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著者略歴(*本データは書籍の刊行当時に掲載された情報です)
佐々木宏
昭和6年北海道に生まれる。昭和30年北海道大学工学部建築学科卒業。昭和32年東大大学院修士、昭和37年同博士課程終了。現在、佐々木宏建築研究室主宰、および法政大学工学部講師。