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2009年12月18日
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2009年10月13日
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2009年6月19日
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審査委員より

第5回ダイワハウスコンペティションでは、論文募集にあたり審査委員4名よりメッセージをいただいています。ここには各審査委員が応募者に何を期待しているかが語られています。本コンペに応募を希望される方は、必ずご一読ください。

山本理顕

今、東京の1世帯あたりの世帯人員は2.13人(23区内に限ると2.05人)である。一人世帯が全世帯の42.5%、二人世帯は24.7%である。これで全体の67.2%! 当然この中には多くの高齢者が含まれている。都営団地の高齢化率(全住民の内65歳以上高齢者の占める割合)は55%*、こういう愕然とする数字を見て誰だって思う。「1住宅=1家族」を想定した今の住宅の供給の仕方はそれでも依然として有効なのだろうか?
マンションにしても戸建て住宅にしても、「1住宅=1家族」がひとつのパッケージとして商品化されている。この住宅は周辺環境とは関係のない商品として開発される。周辺環境と無関係だからこそ“パッケージ”なのである。
建築家の設計する住宅はそのパッケージ商品とどこが違うのか。
「これからのすまい」に住む住人はどのような住人なのか。その隣の住人とはどのような関係なのか。「これからのすまい」は都市の中のどのような住まいなのか。「これからのすまい」のその外側はどのような世界なのか。
*「朝日新聞」2009.5.1

藤森照信

ロビンソン・クルーソーの話しは知っているでしょう。絶海の孤島に流された男が、自分の手足と知恵を使い、食料を獲得し、住まいをつくり、やがてフライデーという子供を得て、家族を構成し、というストーリーだが、あの物語は、近代の資本主義社会にふさわしい人間像を描いた、という解釈があるのは知っているか。
どんな時代にもその時代にふさわしい人間像がある。
現代社会には、この絶海の孤島に流されてしまう男が直面する体験のように、家族や住まいを取り巻くたくさんの問題に遭遇する局面が溢れている。
もし皆さんが絶海の孤島に流れついたらどうするか。幸いロビンソンとは違い、家族は自分を含め4人いたし、道具もひとつもっていた。
食料のことはとりあえずなんとかなるとして、家族というまとまりはどうするのか、住まいはどうするのか。今という時間の中で絶海の孤島とは何か。またその中での家族や住まいのあり方はどうなっていくのか。それぞれに問題を提起し、これからのすまいを考えてください。

千葉学

住宅の設計はこれまで、一方では標準化された「家族」を前提とした、最大公約数的なプランニングと、また一方では、空間の実験としての特殊解という両極が、その大半を占めていました。しかし最大公約数が前提としてきた郊外住宅地は、わずかここ40~50年くらいの間に生まれたもので、それも今となっては代替わりの時代を迎え、都心回帰の動きと相まって、行く先が見えない状況です。また都市部においても、住宅は次々と巨大オフィスやタワー型集合住宅に置き換えられ、戸建て住宅というあり方そのものが、もはや特殊解となりつつあります。
これからの住宅を考えるうえでは、もちろん最大公約数でもなければ実験でもない、これからのリアルな生活を支えるものであって欲しいと思いますが、それは街と切り離されたものとしてではなく、むしろこれからの街のあり方とセットで考える必要があるでしょう。いや、これからの街をいかに構想するか、そこにこそヒントは隠れているかもしれません。

西村達志

当社は「人・街・暮らしの価値共創グループ」として、さまざまな領域に跨って事業を展開しています。また、「ア・ス・フ・カ・ケ・ツ」という合言葉で、安全・安心、スピード、福祉、環境、健康、通信というキーワードを意識付け、社会に貢献できるよう努めています。中でも今年度は、環境エネルギー事業を一本化し、本格的な活動を開始しています。
「これからのすまい」を考えるうえで、既存のテーマ(環境・ストック・少子高齢化、他)も数々ありますが、近い将来もっと根本的な価値の連鎖および価値観の変化に伴い、新しい家族観やライフスタイルが生まれ、それに呼応するように新しいサービスや社会システムが出てくると想定されます。そういった新しい価値による明るい未来、楽しい夢を描き出していただきたい。皆さんの提案がどれだけエンドユーザーや社会に貢献できるのか、またどのような手段で有効なビジネスモデルとして成立させるのかを期待します。