優秀賞「300人が集まる大きな部屋」

  • 中村裕太 田原誠(以上2名、慶應義塾大学大学院)
優秀賞「300人が集まる大きな部屋」写真 ※ クリックすると拡大されます

300人が集まって住む、ワンルームによる集合住宅を提案します.
そこでは、何を共有するか、どのように共有するか、その事自体を設定するのではない.大きなワンルームが、生活する上で必要な一通りのものを兼ね備えていて、ある人はこのワンルーム空間の中だけで自分の生活を完結していくのかもしれない.またある人は自分の居場所のようなものを小さくてもいいから必要で、それ以外はこのワンルームでの共有を望むのかもしれない.
もはや、現在の社会状況の中では、住むという定義すら明確に規定するものは存在しないように思われます.例えば、ある人は自分の自宅より職場のデスク周りに愛着を持ち、物があふれ、そこで寝食を共にすることが、その人にとっての有効な生活のリズムとなっていたりする.またある人は、漫画喫茶などの仮眠室や、24時間営業のファミリーレストランなどに、各個人の、住宅の中での寝室や、ダイニング、はたまたリビングのような役割を与える.家での生活空間を都市側が担い始め、生活の基盤にまで定着化し始めている.その中で、そういった都市生活者がある密度をもって、集まり、住む事にどのような魅力が存在するのか.
それは、集まる人々によって共有される何かに選択性を与え、押しつけがましいものではなく、一体自分は何を人と共有出来て、何を個人の領域に止めておきたいか、その二つの要素を様々なバリエーションで組み合わせる事によって、立ち現れる部屋単位に300人それぞれが個人空間として設定した部屋が、塔の様に積層し、それが分棟配置されている.GLでは前述したワンルーム空間が敷地面積ほぼいっぱいに広がり、積層棟とこのワンルームによって相互補完しながら生活シーンを選択しながら生活していきます.
このような新たな「集住体」としての集合住宅を提案したいと思います.

審査員コメント

乾:
集合住宅をかなり細長くして、それを柱のように林立させ、それをもっと大きなボックスを支えているというその構図が非常に面白いと思い、興味深く見させていただきました.
藤本:
何か割と狭い現代の価値観の中でうまくまとめてる印象がありますが、もう少しそれを突き抜けてほしい気がします.

最新情報

2008年2月1日
審査講評を追加しました.
2007年12月21日
2007年11月9日
応募登録の受け付けを終了しました.
2007年8月23日
応募登録受け付けを開始しました.
学生対象