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アイデア部門審査経過
ー今回のアイデア部門は978案ものアイデアをご応募いただきました．まず，審査員の先生方から入賞候補案を選んでいただき，65案にまで絞りました．次にそれらを特徴別に類型化しました．
- パネルやフレームなどを使うパーティションタイプ
- 煙突のようなものをつくって煙を上昇させる煙突タイプ
- 傘のようなものをつくって煙を処理する傘タイプ
- 通りの植栽と分煙を絡めた緑化タイプ
- 気流を可視化する，もしくは気流を利用して煙を処理する気流タイプ
- 舗装にパターンをつくる床パターンタイプ
- 喫煙場所に高低差をつけるレベル差タイプ
- 緑道をリビングのように考えて家具などを配置するリビング・ファニチャータイプ
- いずれにも当てはまらない，もしくはさまざまなタイプが複合したタイプ．
- 古谷
-
これらのタイプから，それぞれ絞り込んでいきましょう．上に列挙してみたアイデアを横断して喫煙場所を分散する分散型がありますね．このタイプのよいところは喫煙場所の選択肢がたくさんあるので，煙が集中せず，ほどほどに分散するところです．そうした中でもリビング・ファニチャータイプの金田覺次郎＋佐藤美輝案はよいと思います．
古谷誠章
妹島和世
西沢大良
六鹿正治
佐藤英治
小泉光臣 - 妹島
- そうですね．分散させる以外に，今回特徴的だったのは，レベル差を付ける案が多く見られたことですね．自由が丘にちなんで「自由な丘」と名付けて起伏をつける案や背の高いイスを用いて喫煙者を上に持っていく案です．そうした案の中では，橘倫央＋他案がいちばんだと思いました．
- 六鹿
- この案は，通りの反対側へ横断するのに起伏を越えないといけないからご高齢の方々には難しくないでしょうか?
- 妹島
- このくらいの傾斜なら車イスの方も含めて大丈夫だと思います．
- 古谷
- レベル差を設けながら，緑化もしているという多様なアイデアで，よいのではないでしょうか?
気流を利用するものの中では，風見灰皿を提案した吉田敦＋山本容彰案は面白いですよね．風船を用いたものなどもありましたが，この案は灰皿自体を使っているところがよいと思います．ただし，ベンチの配置や敷地全体の計画には何も言っていないところが惜しいですね． - 佐藤
- 風見灰皿が本当に風に反応するのか技術的に不安ではありますね．
- 古谷
- 姚敏峰＋他案はインパクトはありますね．煙を下に吸い込む案です．でも，この案もこの敷地だからということには及んでいないんですね．
- 六鹿
- 新しいマシーンをつくるような提案ですよね．
- 妹島
- 下に煙を落とす案はあまりありませんでしたね．この案はインパクトも含めて面白いのではないでしょうか．また，渡邊智子案は長い緑道をファニチャーで上手に生かし，楽しげに利用できそうな提案です．
- 西沢
- ハイバックのイスを使って，背もたれに情報を載せられる案です．黒い板で煙を可視覚させているのですね．
- 小泉
- たくさんあったら通りが真っ黒になってしまいますが，適度に分散させれば，面白いですよね．
- 古谷
- 吉田敦＋山本容彰案，姚敏峰＋他案はアイデアは面白いのですが，敷地全体についての考えがほとんどないことがマイナスですね．せっかくこの敷地を設定しているので，自由が丘駅南口緑道ならではの提案，もしくは敷地全体に対して上手にまとめた提案が最優秀・優秀賞であるべきではないでしょうか?
- 妹島
- やはり，私は金田覺次郎＋佐藤美輝案がよいと思うのですが，いかがでしょうか? さまざまな場面に対応できる案だと思います．
また，土地を上手に生かしているという意味で，橘倫央＋他案をぜひ推したいです． - 六鹿
- 金田覺次郎＋佐藤美輝案はマナーを大切にしようというメッセージがよく出ていますね．
- 西沢
- 私は金田覺次郎＋佐藤美輝案がよいように思います．
- 古谷
- それでは，最優秀賞は金田覺次郎＋佐藤美輝案，優秀賞は橘倫央＋他案でいかがでしょうか?
- 審査員一同
- よいと思います．
- 古谷
- 以前も灰皿をいくつかの場所に分散させていたのですが，マナーが悪くて，クレームになってしまったとお聞きしています．最優秀・優秀賞の2案は，そうしたことも踏まえて，マナーを誘導するきっかけをつくっていると思います．今日は，商店会の方々にも審査会を見ていただきましたが，いかがでしたか?
- 商店会
- たくさんのアイデアが寄せられたことをうれしく思います．審査に立ち会わせていただき，作品を見ていると楽しくなりました．今回出てきたアイデアが実現できると面白いと思っていますが，実現ができなかったとしても，私たちにとっては，商店街を運営していく上でとてもよい刺激となりました．どうもありがとうございました．
自由が丘南口商店会の志村元道会長（右）と高橋克美相談役・元会長（左）
（2009年7月23日，JTビルにて 文責：本誌編集部）