新建築 2009年4月号 長野県稲荷山養護学校
Content
稲荷山養護学校=
北川原温
ワークステーション 楠山設計+アーキテラス
吉村靖孝 青木茂
エーシーエ設計 他スカパー=竹中工務店 こどもの城他=
千葉学
宇治のアトリエ他=
長坂大
京都精華大=
鈴木隆之
他 【論文】
村上周三
他
【緊急アンケート】建築家と社会の構図 【巻頭論文】デザインには何が可能か
=
内藤廣 【記事】 キャップ社会における建築像=村上周三 ほか
撮影: 新建築社写真部

/21世紀の建築を考える好機|出江寛/大きなうねりに巨大な波が重なった|六鹿正治/潮目を読む者は誰なのか|北山恒
●作品14題
スカパー東京メディアセンター|竹中工務店こどもの城|池田設計+千葉学建築計画事務所レストラン長屋門|東京大学大学院千葉研究室+千葉学建築計画事務所宇治のアトリエ|長坂大/Mega 宮城俊作(PLACEMEDIA)おざわ歯科|長坂大/Mega京都精華大学本館|鈴木隆之デザインネットワーク+京都精華大学鈴木研究室「U-Tsu-Wa /うつわ」展 会場構成|安藤忠雄アトモスフィア 東京室内歌劇場公演 オペラ「ル・グラン・マカーブル」舞台美術|中村竜治建築設計事務所(設計・美術監修)
●特集: 循環・再生する木造建築
長野県稲荷山養護学校|北川原温建築都市研究所芦北町 地域資源活用総合交流促進施設|高橋晶子+高橋寛/ワークステーション熊本県芦北町立佐敷小学校|楠山設計+石井ひろみ/アーキテラスNOWHERE BUT HAYAMA|吉村靖孝建築設計事務所髙木邸|青木茂建築工房川上村立川上中学校|エーシーエ設計●特集記事|木と地域に関する試み 都心・郊外・地方──慶應義塾大学の研究プロジェクト「活きる木/ 生きる地」
●巻頭論文|デザインに何が可能か|内藤廣 ●論文|キャップ社会における建築像|村上周三
/キャップ社会を視野に入れた欧米の住宅・建築物政策|伊香賀俊治+村上周三/建築分野のキャップ社会実現のために|南部鶴彦●ESSAY|田園都市のネットワーク|菊竹清訓/みなとみらい21の都市づくり|浜野四郎●NEWS|2009年日本建築学会作品選奨発表/第22回村野藤吾賞は「実験装置/masia2008」で入江正之氏/東京中央郵便局の建て替えで合意/第3回サステナブル住宅賞発表/スヴェレ・フェーン氏逝去/ヤン・カプリツキー氏逝去/今治「みなと再生事業基本計画」プロポーザル結果発表 他●COLUMN|「かわいい」と「私」|中山英之●ENGINEERING|地域を活性化させる木造建築──KES構法|編集部●EXHIBITION|建築の際 第3回 「形式の際」|青木淳×菊地成孔×岡田猛/Design Teaching at MIT/ポワレとフォルチュニィ 展/卒業設計日本一決定戦/PACO展●連載|何が変わった? 建築士法 第4回(最終回) 建築士試験・考査の内容と対策|山本想太郎/環境デザインの実践第1回 太陽光発電 対談: 「エネルギーをデザインする」|大野二郎×五十嵐淳 太陽光発電2009 現状分析とメーカーの取り組み|編集部/Projets Urbains Français 第6回(最終回)ブリコラージュ・シティをめざすリヨン|赤堀忍+鳥海基樹●第36回日新工業建築設計競技応募要項●SMOKERS’ STYLE COMPETITION2009敷地見学レポート●新建築住宅設計競技2009応募要項●月評|植田実 青木茂 北典夫 中村拓志
作品

撮影: 新建築社写真部
長野県稲荷山養護学校 設計 北川原温建築都市研究所
施工 岡谷組(1・2期) 滝沢組(3期)所在地 長野県千曲市
既存の養護学校の建て替え.主構造は県内産カラマツによる木造.登り梁,柱,方杖などを2本組にし,「めり込み」の効果を用いることによって,小断面の材を使いながら,大きな空間をつくっている.「めり込み」は「
岐阜県立森林文化アカデミー
」(本誌0108)などからの展開.また,ジョイントは1点で2部材以上を接合しないことでシンプルにしている.
INARIYAMA SPECIAL EDUCATION SCHOOL FOR CHILDREN ATSUSHI KITAGAWARA ARCHITECTS Chikuma, Nagano pref., Japan 2007

撮影: 新建築社写真部
芦北町 地域資源活用総合交流促進施設 設計 高橋晶子+高橋寛/ワークステーション
施工 松下・佐藤建設工事共同企業体所在地 熊本県葦北郡
「くまもとアートポリスプロジェクト」として位置付けられた交流センター.地場産のスギ集成材を用いたカゴを編んだような薄い架構で,内部に大スパンの空間をつくり出している.屋内側にカーブした外壁の曲面は不整形な敷地輪郭に馴染んだ平面を構成すると共に屋根のスラストを抑える働きもしている.先行してつくられた屋外トイレにはスギの一枚板を編んで垂らした構造が用いられている.
ASHIKITA COMMUNITY HALL WORKSTATION Ashikita, Kumamoto pref., Japan 2009

撮影: 新建築社写真部
熊本県芦北町立佐敷小学校 設計 楠山設計+石井ひろみ/アーキテラス
施工 東洋建設・日動工務店共同企業体所在地 熊本県葦北郡芦北町
熊本県芦北町の山と川に挟まれた敷地に建つ小学校.芦北は良質の木材を安定して確保できる町で,この小学校でも地場産のスギとヒノキの無垢材をふんだんに使用している.普通教室棟,特別教室棟は通し柱には直径450mm,長さ10mのスギの丸太材を用い,梁はラチストラス状に組んだ無垢材とすることでブレースをなくしている.多目的ホールはトラス状に組まれたスギ材による,ドーム形状の屋根が架けられている.
SASHIKI ELEMENTARY SCHOOL KUSUYAMA ARCHITECT+ARCHI-TERRACE ARCHITECTURAL DESIGN OFFICE Ashikita, Kumamoto pref., Japan 2006

撮影: 新建築社写真部
NOWHERE BUT HAYAMA 設計 吉村靖孝建築設計事務所
施工 アートホーム湘南所在地 神奈川県三浦郡葉山町
築約80年の建物を改修した貸別荘.約20年前に2階部分などが増築されている.今回はサッシの取り替え,外壁仕上げ,下屋の除去などを除き,躯体に関わるような外観上の大きな変更はなく,内部に耐震コアを挿入して補強している.補強部分は家型で「家の中に家を建てる」ように,既存部とは異なるものとしてつくられている.
NOWHERE BUT HAYAMA YASUTAKA YOSHIMURA ARCHITECTS
Hayama, Kanagawa pref., Japan
2008

撮影: 新建築社写真部
髙木邸 設計 青木茂建築工房
施工 中岡建設 所在地 福岡県福岡市
敷地内に共同住宅と別棟を新築する計画に伴い,築100年の既存木造住宅の2階建て部分の架構を残し解体.その架構をクレーンを使って90度回転・吊り家し,新しい建物の2層吹き抜けのリビング・ダイニングの架構として利用している.6カ所に配置された厚さ30mm,高さ2,245mmの鉄筋コンクリートの壁を既存・新規の木柱と緊結し地震力を負担する計画としている.
TAKAKI HOUSE SHIGERU AOKI ARCHITECT & ASSOCIATES Fukuoka, Fukuoka pref., Japan 2007

撮影: 新建築社写真部
川上村立川上中学校 設計 エーシーエ設計 プロデューサー 原田鎮郎/環境システム研究所施工 新津組所在地 長野県南佐久郡川上村
長野県中部,標高1,000m超に位置する川上村の中学校.主構造は村産のカラマツ集成材.カラマツの原生林「美林」をイメージした形態の柱を形成している.「愛・地球博」の再利用として,カナダ館の階段の材の転用と,さとうりさ氏による彫刻「プレイヤー・エイリアン」が屋外に置かれている.
KAWAKAMI JUNIOR HIGH SCHOOL ACA SEKKEI Kawakami, Nagano pref., Japan 2009

撮影: 新建築社写真部
スカパー東京メディアセンター 設計施工 竹中工務店 所在地 東京都江東区
構造は鉄骨造外殻ブレース構造.送信用アンテナ位置によって配置された構造柱や,将来の機器更新時に東側の事務室が放送機器室として転用できるなどの工夫がある.
SKYPERFECTV! TOKYO MEDIA CENTER TAKENAKA CORPORATION
Koto-ku, Tokyo, Japan
2008

撮影: 新建築社写真部
こどもの城 設計 池田設計+千葉学建築計画事務所 施工 大進・野田特定建設工事共同企業体所在地 長崎県諫早市
敷地は諫早市の白木峰高原の傾斜地.付近にはキャンプ場などのレクリエーション施設があるが,子どもたちがのびのびと遊ぶための拠点としてつくられた.屈曲する大きなワンルームの平面,さまざまな方向に折れ曲がる鉄骨造の屋根という構成は地形から導き出されたもので,天井の高い場所,低い場所が空間を緩やかに分節し,子どものための多様な居場所をつくり出している.
CHILDREN’S SITE IKEDA ARCHITECTS+CHIBA MANABU ARCHITECTS
Isahaya, Nagasaki pref., Japan
2009

撮影: 新建築社写真部
レストラン長屋門 基本構想 富士宮市+東京大学大学院千葉研究室 設計 東京大学大学院千葉研究室+千葉学建築計画事務所長屋門改修設計施工 サンワ工務店施工 協和産業所在地 静岡県富士宮市
江戸時代に建てられた長屋門と隣り合うかたちで増築されたレストラン.街に残る古民家や富士山からの湧水など,地域資源を活用したまちづくり提案の延長線上として実現した.屋根の曲率や壁材などを長屋門との関係から導き出している.また,レストラン客席からは開口や庭を介して,長屋門や富士宮の街並みをさまざまな距離感で感じることができる.
RESTAURANT NAGAYAMON CHIBA LABORATORY, THE UNIVERSITY OF TOKYO + CHIBA MANABU ARCHITECTS
Fujinomiya, Shizuoka pref., Japan
2008

撮影: 新建築社写真部
宇治のアトリエ 設計 長坂大/Mega 宮城俊作(PLACEMEDIA) 施工 ミナミ建設 寺㟢造園所在地 京都府宇治市
平等院の近くに建つ,ランドスケープアーキテクトの宮城俊作氏のアトリエ.東側は塀越しに平等院や山の稜線を眺められるよう,建築は地面から少しだけ浮いている.一方,西側(アプローチ側)は地窓が設けられ,前庭には面状に植えられたササの原にヤマザクラが立ち,古材を用いた延段が敷かれている.東西で遠景と近景のコントラストをつくり出している.
ATELIER IN UJI DAI NAGASAKA / MEGA SHUNSAKU MIYAGI(PLACEMEDIA)
Uji, Kyoto, Japan
2008

撮影: 新建築社写真部
おざわ歯科 設計 長坂大/Mega 施工 大同工業所在地 神奈川県平塚市
郊外の住宅地に建つ歯科医院の増改築.既存診療所の余白の不定形な敷地に建てられており,外観は左官仕上げの小さな棟の集合体のような構成となっている.動線を極端に長い一室空間として考えたというロビー(待合い)は長さ27m.スリット状にトップライトが設けられている.各診療室は中庭に面し,低い開口と左官仕上げの壁が,落ち着きのある診療空間をつくり出している.
OZAWA DENTAL CLINIC DAI NAGASAKA / MEGA
Hiratsuka, Kanagawa pref., Japan
2008

撮影: 新建築社写真部
京都精華大学本館 設計 鈴木隆之デザインネットワーク+京都精華大学鈴木研究室 施工 三井住友建設所在地 京都府京都市左京区
京都精華大学の本館.形態やファサードの面を構成する線は,敷地の周辺環境から読み取られた「物語」として導き出されている.エントランスには塔状に空まで吹き抜けたホールがある.また,筒状のボリュームとして壁面が青く塗られた青階段と同じく赤色の赤階段がある.
KYOTO SEIKA UNIVERSITY MAIN BUILDING SUZUKI DESIGN NETWORK + KYOTO SEIKA UNIVERSITY SUZUKI STUDIO
Sakyo-ku, Kyoto, Japan
2009

撮影: 新建築社写真部
「U-Tsu-Wa/うつわ」展 会場構成 企画ディレクター 三宅一生会場構成 安藤忠雄 施工 乃村工藝社会場 東京都港区 21_21 DESIGN SIGHT(東京ミッドタウン・ガーデン内)
安藤氏自身が設計した「
21_21 DESIGN SIGHT
」(設計: 安藤忠雄建築研究所+日建設計/本誌0705)を会場として行われた「うつわ」をテーマとした展覧会.陶作家のルーシー・リィーとジェニファー・リーの作品は,ガラス瓶が敷き詰められた水盤に浮かぶように配置.木の作家のエルンスト・ガンペールの展示台には粉砕ガラスが敷き詰められている.
U-Tsu-Wa directed by: ISSEY MIYAKE exhibition design: TADAO ANDO 21_21 DESIGN SIGHT, Minato-ku, Tokyo, Japan 2009

撮影: 新建築社写真部
アトモスフィア 東京室内歌劇場公演 オペラ「ル・グラン・マカーブル」舞台美術 設計・美術監修 中村竜治建築設計事務所 施工 ART CREATION 会場 東京都渋谷区 新国立劇場 中劇場
新国立劇場
で行われた東京室内歌劇場主催のオペラ「ル・グラン・マカーブル」の舞台美術.歪んだグリッド状に吊り下げられたリボンが天井のバトンから吊されており,それらが上下して場面をつくり出す.リボンには装飾に使われる直径8mmのモールリボンが使われた.
ATMOSPHERE RYUJI NAKAMURA ARCHITECTS New National Theatre, Shibuya-ku, Tokyo, Japan 2009