新建築 2009年6月号 東工大蔵前会館 TOKYO TECH FRONT
Content
七沢希望の丘初等学校=
中村勉
TOKYO TECH FRONT=
坂本一成
+日建設計 イスノキ=
齊藤正
スチールシートハウス 日経ビル・JAビル・経団連会館 神田外語大学7号館 横浜国大建築学科棟改修
前田圭介 新関謙一郎
みかんぐみ トラフ
変革期を迎える医療福祉建築
会津中央病院 新棟 NSOC 青葉ヒルズ
【特集座談会】
中山茂樹×糸山剛×田辺新一
撮影: 新建築社写真部

七沢希望の丘初等学校|中村勉総合計画事務所東工大蔵前会館 TOKYO TECH FRONT|坂本一成研究室+日建設計イスノキ|齊藤正轂工房スチールシートハウス|手塚貴晴+手塚由比/手塚建築研究所オーノJAPAN大手町一丁目地区第一種市街地再開発事業日本経済新聞社 東京本社ビル|日建設計JAビル|三菱地所設計・全国農協設計・NTTファシリティーズ経団連会館|日建設計・三菱地所設計神田外語大学7号館|松田平田設計横浜国立大学自然科学系総合研究棟Ⅱ(建築学棟)改修|横浜国立大学建築学教室+横浜国立大学施設部森×hako|前田圭介/ UID 一級建築士事務所OYM|新関謙一郎/ NIIZEKI STUDIO開国博Y150 Y150 はじまりの森|博報堂JV(企画・総合プロデュース) みかんぐみ(設計)開国博Y150 NISSAN Y150ドリームフロント|TBWA\HAKUHODO(プロデュース) 博報堂(企画・総合演出) トラフ建築設計事務所(設計)
●特集: 変革期を迎える医療福祉建築
会津中央病院 新棟|羽深隆雄・栴工房設計事務所NSOC 仙台北部整形外科|八重樫直人+ノルムナルオフィス青葉ヒルズ|野生司義光/野生司環境設計●特集座談会|2012年の医療福祉建築──医療福祉建築の現在から 中山茂樹×糸山剛 田辺新一(司会)
●記事|大多喜町役場庁舎建設設計業務プロポーザル結果発表
大多喜の重層する時間と空間/「冗長性」と「象徴性」|千葉学/公開審査の本質を問う|乾久美子
●ESSAY|ミースというポテンシャル|菊竹清訓/地方分権と市民力|浜野四郎/軽い,ということ|伊藤弘
●NEWS|日本建築学会会長に佐藤滋氏/C+Aが「沖縄アミークスインターナショナル(仮称)」の設計者に,「ホーチミン建築大学プロジェクト」がThe Global Holcim Awards 2009で銀賞受賞/(仮称)森鴎外記念館のプロポーザル結果発表──陶器二三雄建築研究所が最優秀者に/国交省,建築物の長寿命化に関わる政策の現在/東京建築士会住宅建築賞発表──金賞は福島加津也氏,冨永祥子氏の「柱と床」/第4回関西建築家新人賞に長田直之氏/大阪府建築士会が第1回建築人賞,第55回大阪建築コンクールを発表 他
●EXHIBITION|建築の際 第5回 「空間の際」|原広司×松本幸夫×暦本純一/渡──国際応急建築設計展/Arup Japan 20th Anniversary Innovative Engineering in Architecture 建築の変革を促すエンジニアたち/メイド・イン・カッシーナ 展/dot architects 展
●FOCUS-IN|パブリックな施設におけるレストルームのあり方 坂本一成×安田幸一 TOTO──RESTROOM ITEM 01|編集部/中辻正明氏に聞く 光触媒コーティング材の優れた機能と効果 TOTOオキツモコーティングス──ハイドロテクトカラーコート|編集部
●連載|地域に関わる建築家像 第1回 13年目の小白倉ワークショップ|江頭慎
●SMORKERS’ STYLE COMPETITION 2009 連動企画 SMORKERS’ STYLE SOLUTIONS
●月評|植田実 青木茂 北典夫 中村拓志
作品

撮影: 新建築社写真部
七沢希望の丘初等学校 設計 中村勉総合計画事務所
施工 白石建設所在地 神奈川県厚木市
1学年20人,全校生徒120人の小規模学校.無学年で縦割りグループによる教育を目指す私立学校.集成材を使わず,県産材の大加工の空間をつくる.クールチューブ,ソーラーチムニーによる換気,バイオマスボイラーなど環境にも配慮.
NANASAWA KIBOUNOOKA ELEMENTARY SCHOOL BEN NAKAMURA AND ASSOCIATES Atsugi, Kanagawa pref., Japan 2008

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
東工大蔵前会館 TOKYO TECH FRONT 設計 坂本一成研究室+日建設計総括・監理 東京工業大学施設運営部
施工 清水建設所在地 東京都目黒区
東京工業大学大岡山キャンパスの正門脇に建てられた大学とその同窓会の施設.
東京工業大学百年記念館
(設計:
篠原一男
,本誌8801)と共に大学の顔となり,多目的ホール,会議室,レストラン,カフェなどを収容する.大岡山駅の駅前広場に対して開かれたプラザには押出成型セメント板のルーバー状の庇が使われている.ルーバーはホワイエやホールの天井に連続し,都市的なスケールと建物各部のスケールを統合している.プラザを中心とした分棟形式は隣接する住宅街のスケールとの連続を意識したもの.また,ホールを貫通するブリッジは将来,キャンパス内の
本館前プロムナード
(本誌0607)へと連続する予定である.
TOKYO TECH FRONT KAZUNARI SAKAMOTO ARCHITECTURAL LABORATORY+NIKKEN SEKKEI Meguro, Tokyo, Japan 2009

撮影: 新建築社写真部
イスノキ 設計 齊藤正轂工房
施工 善建+轂工房(半直営)所在地 香川県丸亀市
丸亀市郊外に建つ設計者自身の事務所.事務所,中川幸夫プレ美術館,ショップが入る鉄骨造の事務所棟と木造の温室棟が並ぶ.ピアチェックの要らないルート 1-1でできるラーメン構造,床暖房配管ユニットを改造したコンベクター,地下水の利用など,構造や環境についてさまざまな試みを行っている.
ISUNOKI TADASHI SAITO + ATELIER NAVE
Marukame, Kagawa pref., Japan
2009

撮影: 新建築社写真部
スチールシートハウス 設計 手塚貴晴+手塚由比/手塚建築研究所 大野博史/オーノJAPAN
施工 日南鉄構所在地 東京都
地上3階の住宅兼オフィス.外観は構造がそのまま現れている鉄骨門型フレーム.裏表(南北)の幅が違う靴型の敷地で,平面は敷地の形を映して歪んでいる.スパン12.3mの床に対して華奢な柱を実現させるために,柱と梁の接合部を回転自由なピン接合としている.
STEEL SHEET HOUSE
TAKAHARU+YUI TEZUKA/TEZUKA ARCHITECTS, OHNO JAPAN
Tokyo, Japan 2009

撮影: 新建築写真部
大手町一丁目地区第一種市街地再開発事業 所在地 東京都千代田区
「大手町連鎖型再開発事業」の第1次開発で,敷地は合同庁舎跡地.「日本経済新聞社 東京本社ビル」,「JAビル」,「経団連会館」の3棟が建ち,低層部を共用部のカンファレンスモールが繋ぐ.
OTEMACHI 1-CHOME PROJECT Chiyoda-ku, Tokyo, Japan 2009

撮影: 新建築写真部
大手町一丁目地区第一種市街地再開発事業 日本経済新聞社 東京本社ビル 設計 日建設計
施工 清水建設所在地 東京都千代田区
ペンをモチーフにしたフィンがガラスを支え,高い開放性を生み出している.内部は,リニア形状のコアで,大空間と個室とワークプレイス内を結ぶ階段・エレベータなどを設けている.構造はやじろべえの原理を使い,メインフレームと窓回りの細柱・キャンティレバー梁によって,コア部の最小化,ワークプレイスの最大化などを実現している.
NIKKEI HEAD OFFICE (TOKYO) NIKKEN SEKKEI Chiyoda-ku, Tokyo, Japan 2009

撮影: 新建築社写真部
大手町一丁目地区第一種市街地再開発事業 JAビル 設計 三菱地所設計・全国農協設計・NTTファシリティーズ
施工 鹿島建設所在地 東京都千代田区
外観はグリッド状に並ぶ開口部の回りをさまざまな大きさの矩形パターンが囲うデザイン.仕上げは花崗岩打ち込みPCカーテンウォール.上層階には,事務室に隣接したラウンジや自然の木が植えられた空中庭園がある.多くの環境調和型技術が取り込まれている.
JA BUILDING MITSUBISHI JISHO SEKKEI, ZEN-NOH ARCHITECTS & ENGINEERS & NTT FACILITIES Chiyoda-ku, Tokyo, Japan 2009

撮影: 新建築社写真部
大手町一丁目地区第一種市街地再開発事業 経団連会館 設計 日建設計・三菱地所設計
施工 清水建設所在地 東京都千代田区
外周に細柱を出し,鉛直荷重を負担させると共に,室内へ日射を遮り,深い彫りのある表情を生み出している.仕上げはGRC花崗岩打ち込みパネル.水平力については南側の制震ブレースや,北側のコア内に設置された粘性ダンパー壁,極軟鋼耐震壁が負担する.1階のエントランスホールには和泉正敏氏による庵治石横積みによる壁がある.
KEIDANREN KAIKAN NIKKEN SEKKEI, MITSUBISHI JISHO SEKKEI Chiyoda-ku, Tokyp, Japan 2009

撮影: 新建築社写真部
Photo: SHINKENCHIKU-SHA
神田外語大学7号館 設計 松田平田設計
施工 大成建設所在地 千葉県千葉市
従来の図書館機能に新たなサポートサービスを加えた「ラーニング・コモンズ」の概念が導入された学習支援施設.開学20年を迎えた神田外語大学の新図書館として建設され,図書館の他に,多言語を体験的に学習できるよう現地の職人,材料,工法でつくられた擬似留学空間「MULC」,カフェ,ホール,セミナー室が設けられている.隣接するラグビーコートから曲面屋根が丘状に伸び,屋上緑化によって断熱性を持たせると共に,キャンパス内の緑のアクティビティを連続させている.
KANDA UNIVERSITY OF INTERNATIONAL STUDIES BUILDING 7 MHS PLANNERS, ARCHITECTS & ENGINEERS Chiba, Chiba pref., Japan 2009

撮影: 新建築社写真部
会津中央病院 新棟 設計 羽深隆雄・栴工房設計事務所
施工 大成建設所在地 福島県会津若松市
既存「新館」に免震構造の「新棟」が増築された.「新館」は動線計画など内部の改修,免震レトロフィットなどが施される.全体計画認定制度を適用した更新.内部では,バック動線を設けるなどして,既存の動線計画を改善している.構造や外壁は,施工精度向上や工期短縮が図られ,すべてPC,PCa.
AIDU CHUO HOSPITAL TAKAO HABUKA & S.E.N ARCHITECT ASSOCIATES Wakamatsu, Fukushima pref., Japan 2009

撮影: 新建築社写真部
NSOC
仙台北部整形外科 設計 八重樫直人+ノルムナルオフィス
施工 大林組所在地 宮城県仙台市
デイ・サージャリー(日帰り・短期入院を伴う手術)を行う仙台市北部のスポーツクリニック.鉄筋コンクリート造の方形のボリュームにそれぞれ,外来診察,病室,手術室,そして待合が入る.諸室を繋ぐ廊下はリハビリ室と一体として歩行訓練などに用いられる.生活習慣病のケアなど,地域の人びとの健康状態に面的に関わる.
NSOC (NORTH SENDAI ORTHOPAEDIC CLIINIC)
NAOTO YAEGASHI + NORM NULL OFFICE
Sendai City, Miyagi pref., Japan 2008

撮影: 新建築社写真部
青葉ヒルズ 設計 野生司義光/野生司環境設計
施工 りんかい日産建設・石井建設工業特定建設共同企業体所在地 神奈川県横浜市
入所120室,短期入所(ショートステイ)20室,通所(デイサービス)1室の特別養護老人ホーム.北側の共用部に立体的なラウンジを配し,隣地の緑やビオトープを眺められる開放的な空間としている.南側は10戸単位の個室群と共同生活室を単位とした4つのボリュームに分節.プレストレストコンクリートによって,無柱空間を実現している.
AOBA HILLS YOSHIMITSU NŌSU / NŌSU ARCHITECTS PLANNERS ENGINEERS Yokohama, Kanagawa pref., Japan 2009

撮影: 新建築写真部
横浜国立大学自然科学系総合研究棟Ⅱ(建築学棟)改修 設計 横浜国立大学建築学教室+横浜国立大学施設部
施工 中島建設所在地 神奈川県横浜市保土ヶ谷区
横浜国立大学建築学棟の耐震改修を契機に行われたもの.外壁にツタとつる植物を取り混ぜたグリーンウォール(植栽)を施し,環境を調整する.耐震改修では,構造上不要な壁は極力取り除き,必要な部分にコンクリートを打ち増しする.これまで教育人間科学部の耐震改修(デザイン監修: 下吹越武人+田井幹夫)をするなど,キャンパス戦略としても継続する.横浜国立大学の北山恒氏,飯田善彦氏,三浦丈典氏らが参加.8階にY-GSA.
YOKOHAMA NATIONAL UNIVERSITY NATURAL SCIENCE RESEARCH BUILDING Ⅱ IMPROVEMENT ORGANIZATION OF THE DEPARTMENT OF ARCHITECTURE, YOKOHAMA NATIONAL UNIVERSITY Hodogaya, Kanagawa pref., Japan 2009

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
森×hako 設計 前田圭介/UID 一級建築士事務所
施工 ホーム所在地 広島県福山市
3つの異なる業種が入るテナントビル.前面道路に面する間口に対して奥行のある細長い敷地において,建物をふたつの「ハコ(箱)」に分け,その中間に植栽帯「森のハコ」を設けて,条件の悪いとされる敷地奥の環境に付加価値を与えている.ふたつのハコと森のハコによってレイヤー状に4枚の壁が生成される.その壁には一見ランダムな開口が設けられているが,テナント同士のプライバシーや植栽帯でのアクティビティ,レイヤーによって生成される開口の重なりを考慮して位置が決められている.
MORI×HAKO KEISUKE MAEDA/UID ARCHITECTS
Fukuyama, Hiroshima Pref., Japan
2009

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
OYM 設計 新関謙一郎/NIIZEKI STUDIO
施工 TH-1所在地 東京都渋谷区
道路拡張によって生まれた間口方向に細長く奥行の少ない敷地に建てられたオフィスビル.奥行を確保するため,敷地境界際での施工が可能な鉄筋コンクリート組積造(RM造)が採用されている.特注色の白色のコンクリートブロックは構造体であり,内外壁の仕上げにもなっている.内部空間は長手方向に空間の広がりを意識するよう壁の配置を工夫し.外部では通りに大きく面したコンクリートブロックの壁面によって都市の風景をつくっている.
OYM KENICHIRO NIIZEKI /NIIZEKI STUDIO Shibuya, Tokyo, Japan 2009

撮影: 新建築社写真部
開国博Y150 Y150 はじまりの森 企画・総合プロデュース・施工 博報堂JV 設計 みかんぐみ
所在地 神奈川県横浜市中区
横浜開港150周年記念テーマイベント「開国博Y150」の,ベイサイドエリアの拠点施設となるパビリオン.鋼管で組まれた一葉双曲面形状の構造ユニットによって構成する内部,半外部,外部が連続する空間に,展示場,レストラン,インフォメーションセンターなどの機能がある.照明計画は岡安泉氏.
Y150 HAJIMARINOMORI (FOREST OF BEGINNINGS) MIKAN
Naka-ku, Yokohama, Japan
2009

NISSAN Y150 ドリームフロント
撮影: 新建築社写真部
開国博Y150 NISSAN Y150 ドリームフロント プロデュース TBWA\HAKUHODO 企画・総合演出 博報堂設計 トラフ建築設計事務所
施工 ムラヤマ所在地 神奈川県横浜市中区
開国博Y150の日産によるパビリオンの会場構成.直径4.5〜10mの大小16個の気泡で大きな展示室を満たした「コトバパーク」と,周囲を膜で囲み,空気を孕んで大きな気積を生むペーパーハニカムの椅子が配置された「ピボ・ラボ」からなる.「ピボ・ラボ」は,日産が取り組む環境活動と電気自動車「PIVO2」の展示室.
NISSAN Y150 DREAMFRONT TORAFU ARCHITECTS Naka-ku, Yokohama, Japan 2009