新建築 2009年12月号 プンタ・デラ・ドガーナ再生計画
Content
──住宅,映画の世紀を経験して 審査員:
青木淳 主な収録作品:
プンタ・デラ・ドガーナ再生計画=
安藤忠雄
裏磐梯のホテル=
益子義弘
河合俊和 大竹慎太郎 DNP創発の杜 箱根研修センター第2=
石原健也
+清水建設 新フランス大使館=竹中工務店/ADPI うきは市立総合体育館「うきはアリーナ」=
黒川哲郎
地層のフォリー=
大西麻貴
+小川勇樹+熊澤智広+
百田有希
+南方雄貴 矢作昌生 山古志闘牛場リニューアル=
山下秀之
金華キューブチューブ+北京バンプス=
迫慶一郎 【特集】小さな建築のスケールとディテール
スモールハウスH=
乾久美子
House H=
藤本壮介
O邸=
中山英之
上馬スモールオフィス=
奥山信一
すごろくハウス=大建met なわけんジム 上大須賀の家=
谷尻誠 【特別記事】モノではなくコトのデザイン
──東京デザイナーズウィーク2009,デザインタイドトーキョー2009に見るデザインの今

作品

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
プンタ・デラ・ドガーナ再生計画 設計 安藤忠雄建築研究所
施工 Dottor Group S.p.A.所在地 VENICE, ITALY
イタリアのベネチア,サンマルコ広場の対岸にある15世紀に建てられた税関倉庫を現代アートの美術館にとして改修・保存したもの.クライアントのフランソワ・ピノー氏とはパリ郊外に計画したピノー現代美術館からのつきあいで,ベネチアでは2006年に運河中流にPalazzo Grassiを完成させている.建物は基本的に元の状態に戻すことが原則とされた.16,000mm角のセントラルコートを中心に各展示スペースが展開する.
PUNTA DELLA DOGANA RENOVATION
architects: TADAO ANDO ARCHITECT & ASSOCIATES
VENICE, ITALY
2009

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
裏磐梯のホテル 設計 益子義弘 河合俊和 大竹慎太郎
施工 八光建設所在地 福島県耶麻郡北塩原村
既存の保養施設の骨格を活かしながらリノベーションし,民間のホテルとして再生させている.右手前のレストラン,切妻屋根の左端にある露天風呂,北側のポーチや渡り廊下が増築された.
HOTEL IN URABANDAI architects: YOSHIHIRO MASUKO, TOSHIKAZU KAWAI,SHINTARO OTAKE
Kitashiobara, Fukushima-pref.,Japan 2009

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
DNP創発の杜 箱根研修センター第2 設計 石原健也/デネフェス計画研究所 清水建設一級建築士事務所
施工 清水建設所在地 神奈川県足柄下郡
箱根の自然公園内に建つ研修施設.箱根研修センター(本誌0403)に引き続き,道路を隔てた隣の敷地に計画された.約8,000m
2
の広さに18mの高低差がある北斜面に建つ.樹木や草花は敷地内のものを造成の後,植え直している.建物内部はL字型のプランに宿泊所と研修ホールが収まる.
DNP HAKONE TRAINING CENTER 2 architects: KENYA ISHIHARA / DENEFES SHIMIZU CORPORATIONAshigara-shimo, Kanagawa pref., Japan 2009

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
新フランス大使館 基本計画 ADP Ingénierie(ADPI)設計 竹中工務店/ADPI
施工 竹中工務店所在地 東京都港区
フランス大使館の建て替え.道路沿いのビザ棟と敷地奥の事務所棟で構成される.事務棟は,敷地内の森に向けて緩やかにカーブしたガラスファサードとし,オフィス内から森を感じられる.南側は粒径の異なる花崗岩と石灰岩の砕石を打ち込み,水磨きしたPCa版としている.
NEW FRENCH EMBASSY architects: ADPI/TAKENAKA CORPORATION
Minato, Tokyo, Japan
2009

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
うきは市立総合体育館「うきはアリーナ」 設計 黒川哲郎+デザインリーグ
施工 東洋・ヤマサキ建設工事共同企業体所在地 福岡県うきは市
福岡県うきは市に建つ複合体育施設.メインアリーナ棟,多目的アリーナ棟,プール・トレーニングルーム棟の3棟からなる.地場の杉丸太を2,300本用いてつくられた.丸太を用いながらも,各棟必要とされるスパンを実現するために,それぞれ異なる構造形式を用いている.
UKIHA MUNICIPAL SYNTHESIS GYMNASIUM UKIHA ARENA architects: TETSURO KUROKAWA+DESIGN LEAGUE Ukiha,Fukuoka-pref.,JAPAN, 2009

撮影: 新建築写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
地層のフォリー 設計 大西麻貴+小川勇樹+熊澤智広+百田有希+南方雄貴
監修 矢作昌生施工 笹丘住宅 原田左研所在地 福岡県福岡市東区
福岡市の人工島,アイランドシティ内の公園につくられたあずまや.伊東豊雄氏らがディレクターとなり,福岡市と九州大学大学院人間環境学府の主催で行われた学生対象のワークショップにより実現したもの.外壁は日田土掻き落とし仕上げ.内部には大小さまざまな空間を含んでいる.
GROUND FOLLY architects: MAKI ONISHI + YUKI OGAWA + TOMOHIRO KUMAZAWA + YUKI HYAKUDA + YOU-KI MINAKATA supervising architects: MASAO YAHAGI/MASAO YAHAGI ARCHITECTS Fukuoka, Fukuoka-pref.,JAPAN, 2009

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
山古志闘牛場リニューアル 設計 山下秀之/長岡造形大学山下研究室+大原技術
施工 大石組所在地 新潟県長岡市
中越地震で被災した山古志の地域に古くから伝わる「牛の角突き」のための闘牛場リニューアル.標高の高いブナ林に囲まれた敷地に建つ.上床構造の観覧席の増設,既設ドーム席の補修,屋外観覧ベンチの再配置が行われた.観客席の上げ裏一面に,リニューアル前に闘牛場斜面席まわりの遊歩道に使われていた震災復興の応援メッセージが書かれたボードウォークが張られている.
YAMAKOSHI BULLFIGHTING GROUND RENEWAL architects: HIDEYUKI YAMASHITA/YAMASHITA LAB., NAGAOKA INSTITUTE OF DESIGN+OHARA GIJYUTSU Nagaoka, Niigata pref., Japan 2009

撮影: 広松美佐江
photo: Misae Hiromatsu
金華キューブチューブ 設計 SAKO建築設計工社
施工 新世紀建設集団所在地 中国浙江省金華市
浙江省金華市に新設された開発区に建つオフィスビル.32,000mm角のキューブ内部に9層のフロアが収まる.外壁は550mm角のアルミ切板パネル(t=2mm)貼り.開口部や階高,また周辺のランドスケープもすべて550mmのグリッドにしたがって計画されている.隣接してレストラン棟の計画が進行中.
CUBE TUBE IN JINHUA architects: SAKO ARCHITECTS
Jinhua, Zhejiang, China
2009

撮影: 広松美佐江
photo: Misae Hiromatsu
北京バンプス 設計 SAKO建築設計工社
施工 江蘇省蘇中建設集団股份所在地 中国北京市
北京市に建つデパートと集合住宅の複合施設.4本の住居タワーと低層部の商業施設からなる.タワーの最高高は82,000mm.容積率400%.「スケーリングユニット」と呼ばれる建築要素を内包したハコ型空間をずらしながら積層させている.2層が1つのハコ型に収まる.建物は南北軸に対して45度回転した軸線にしたがって配置している.
BUMPS IN BEIJING architects: SAKO ARCHITECTS
Beijing, China
2008

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
スモールハウスH 設計 乾久美子建築設計事務所
施工 安松託建所在地 群馬県高崎市
榛名山の麓に建つ,方形屋根,鉄筋コンクリート造の週末住宅.方形を対角線上に間仕切った4つの三角形の部屋を持つ.各部屋の壁左右いっぱいに開けられた木製建具からは,それぞれ違う要素の風景が見える.
SMALL HOUSE H OFFICE OF KUMIKO INUI
Takasaki, Gunma pref, Japan 2009

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
House H 設計 藤本壮介建築設計事務所
施工 平成建設所在地 東京都
3人家族のための住宅.敷地は住宅地の一画にあり,東側と北側の2面が道路に面した角地.写真は東側から見た外観.外壁はコンクリート打ち放し.建物高さ10,000m.各部屋は玄関から螺旋状に積み重なり,屋根面まで連続している.
HOUSE H architects: SOU FUJIMOTO ARCHITECTS
Tokyo, Japan
2009

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
O邸 設計 中山英之建築設計事務所 施工
志水工務店
所在地
京都府京都市
京都の美観地区の住宅街に建つ.鉄骨造2階建てのゆるやかにカーブする母屋と,母屋に垂木を渡した両脇の下家からなる.ファサードは,幅2m,高さ7.1m,19mm厚の1枚ガラス.母屋の外壁は,下家のあるなしにかかわらず,すべて同じ吹き付け仕上げが連続しており,西側の下家で1階に接する階段は,途中でこの外壁を通過し,東側の扉もこの壁を通過する.外壁としての仕上げと,間仕切り壁のような薄さが,家の内外を隔てるはっきりとした境界であることと,日常的に行き来することを両立させ,掴みにくい室の距離感をつくり,街と敷地と家の間にある生活に奥行を生み出そうとしている.
O HOUSE HIDEYUKI NAKAYAMA ARCHITECTURE Kyoto, Japan pref, 2009

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
コンクリートでつくる形と構成
上馬スモールオフィス 設計 奥山信一研究室
施工 スリーエフ所在地 東京都世田谷区上馬
コンクリートによる切妻屋根と壁柱,ひとつの開口によって構成されたファサードを持つオフィス.1階が駐車場,2階が事務室,3階が倉庫というシンプルな構成で,前面道路側の開口回りに吹き抜けを配している.
SMALL OFFICE IN KAMIUMA architects: SHIN-ICHI OKUYAMA ARCHITECTURAL STUDIO
Setagaya, Tokyo, JAPAN, 2009

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
すごろくハウス 設計 大建met なわけんジム
施工 なかむら工務店所在地 岐阜県岐阜市
家を替えずに住む場所を変えられる,いつでも動かせる住居.グレーの鉄板のメインユニットと白いFRPハニカムパネルによるサブユニットの組み合わせで構成されている.それらをユニットごとに分解することで,トラックに乗せて移動することができる.
SUGOROKU HOUSE architects: MET ARCHITECTS/NAWAKENJI-M Gifu Gifu Pref., Japan 2009

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
上大須賀の家 設計 谷尻誠/suppose design office
施工 ホームテック所在地 広島県広島市
既存鉄筋コンクリート造3階の改修.既存躯体を「敷地」と見なし,その中に垂れ壁で囲ったLDKを設けている.それによって半屋外的な回廊スペースをつくり,音や熱環境のバッファーとしながら,全体を緩やかに分けている.
HOUSE IN KAMIOSUGA architects: MAKOTO TANIJIRI / SUPPOSE DESIGN OFFICE
Hiroshima, Hiroshima-pref., JAPAN, 2009