新建築 2013年2月号 村,その地図の描き方
Content
流通・制度と共に変化するインフラとしての集合住宅=馬場正尊×西端たか志(大林組)×西村勝尚(大林組)
連載: 丹下健三生誕100年のメッセージ
第2回 第8回CIAM-1951(本誌5401)
OBITUARY: 追悼 大谷幸夫 ーー「真」の「戦後建築家」
=布野修司
主な収録作品: 集合住宅特集: 4つの視点で見る「集合住宅をつくること」
Logements Sociaux Rue Rebiére=アトリエ・ワン村,その地図の描き方=西田司+中川エリカ/オンデザインMUJI×UR団地リノベーションプロジェクト=ムジネット+都市再生機構 Open A大阪市住宅供給公社カスタマイズ賃貸プロジェクト=馬場正尊+大我さやか/Open A「泉北ほっとけないネットワーク」住環境整備プロジェクト=大阪市立大学居住福祉環境設計チームHOTEL&RESIDENCE ROPPONGI=伊藤博之建築設計事務所+OFDA麻布十番の集合住宅=SALHAUS1930の家=宮部浩幸+吉里裕也/SPEACALLEY HOUSE=進藤強/ビーフンデザイン+松下慎太郎/タスエス元麻布の集合住宅 sYms.=仲亀清進港町駅前タワーマンション リヴァリエ A棟+川崎市営河原町住宅耐震補強工事=大林組GILIGILI=納谷学+納谷新谷中テラス =ヨコミゾマコト世田谷のコーポラティブハウス=若松均森音テラス=谷尻誠+オーノJAPAN高野山ゲストハウス=竹口健太郎+山本麻子/アルファヴィル共働学舎新得農場男子寮=川人洋志+WonderArchi鋸南町の合宿所=吉村靖孝SUS静岡工場実験棟=SUS

作品

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
Logements Sociaux Rue Rebiére 設計 アトリエ・ワン
設計協力 Brunnquell & André Architectes施工 Entreprise générale Léon Grosse
所在地 フランス・パリ
低所得者用高層集合住宅の解体に伴い,同地域に新たに建設された集合住宅.墓地南側に通る,幅24m長さ500mの道路の墓地側半分を敷地として18の区画に分割し,9組の建築家が2区画ずつ設計を担当した.アトリエ・ワンはそのうちの連続した2区画を敷地とし,3棟計20戸を設計した.東・西・南,3面には同じ大きさのフレンチウインドウが連続して並び,大中小3つのサイズのバルコニーが張り出している.
LOGEMENTS SOCIAUX RUE REBIÉRE ATERIER – BOW WOW + BRUNNQUELL & ANDRÉ ARCHITECTS
France, Paris
2012

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
村,その地図の描き方 設計 西田司+中川エリカ/オンデザイン
施工 栄港建設所在地 神奈川県
高さや大きさの違う小さな建築のが集合した住宅.平面図を地図に見立て,建築家と施主の共有ツールとして使用した.650m
2
の敷地全体に全部で23個の小さな建築を配るという構成.利用は不定期で,平日の数時間畑仕事をすることもあれば,数日間いることもあり,貸し出すことも考えている.肥沃な土には,これから庭や畑や焚き火場がつくられ,それ以外は芝が貼られる.
CALLING A PLAN A MAP OSAMU NISHIDA + ERIKA NAKAGAWA/ON DESIGN
Kanagawa, Japan
2012

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
MUJI×UR団地リノベーションプロジェクト 設計 ムジ・ネット+都市再生機構
監修 Open A施工 大和工業 日本総合住生活所在地 大阪府大阪市,豊中市,堺市
ムジ・ネットと都市再生機構による団地の改修.リバーサイドしろきた,新千里西町,泉北茶山台二丁の3つの団地で,計5住戸をリノベーションした.「生かすところ」「変えるところ」「自由にできるところ」の3つの考え方により,住み手が工夫を凝らしながら住み続けるようにしている.
MUJI×UR RENOVATION PROJECT MUJI NET + UR
Osaka, Japan
2012

カスタマイズ賃貸プロジェクト
撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
大阪市住宅供給公社 カスタマイズ賃貸プロジェクト 設計 馬場正尊+大我さやか/Open A
施工 関西住建所在地 大阪府大阪市港区
大阪港駅近くに建つ,大阪市住宅供給公社の公共住宅.住宅の半分と水回りには手をつけず,その残りの部分をスケルトンとして賃貸する.そこには,住み手が自由にカスタマイズできるL字型壁などのきっかけの壁ををつくった.
CUSTOMIZABLE RESIDENCE PROJECT AT OSAKA PORT OPEN A
Osaka, Japan
2012

住環境整備プロジェクト
撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
「泉北ほっとけないネットワーク」住環境整備プロジェクト 設計 大阪市立大学居住福祉環境設計チーム
施工 西上建設
大阪府堺市泉北ニュータウン槇塚台団地で,大学・地域NPO・行政・福祉機関によって地域ネットワークを構築するプロジェクト.空き家率の高い府営住宅を一時利用型のコミュニティケアハウスに,商店街の空き店舗を改修したコミュニティレストランに改修した.府営住宅は28号棟と29号棟の計8戸の空き家を同住宅に住む人のコミュニティハウスとして改修.友人や家族を招いたり,高齢者も一緒に寝泊まりなどすることができる.
SENBOKU HOTTOKENAI-NETWORK HOUSING PROJECT OCU WELLBEING DESIGN TEAM Osaka, Japan 2012

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
Hotel & Residence Roppongi 企画 シマダアセットパートナーズ設計 伊藤博之建築設計事務所+OFDA
施工 アサヒホーム 東南工業所在地 東京都港区
東京都港区の約30年前に建てられたホテルとレジデンスの改修.既存の躯体は変更せずに,仕上げる範囲の切り替えによって,複合用途の建築の再編を行った.1階がロビーやレストラン,2階〜6階がホテル,7階〜14階までレジデンス.
HOTEL & RESIDENCE ROPPONGI HIROYUKI ITO ARCHITECTS + OFDA
Tokyo, Japan
2012

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
麻布十番の集合住宅 設計 SALHAUS
施工 青木工務店所在地 東京都港区
麻布十番に建つ築34年の既存不適格である集合住宅を耐震診断の上,躯体以外すべてを解体し改修した.エレベータを新設するとともに,ファサードを一新した.1階には店舗・事務所が配置された8戸の集合住宅.新設されたファサードは,隣接する建物の色合いに合わせて落ち着いた色を選択した.西側敷地の用途地域が異なるため,新築をつくると日影斜線制限により建物形状が複雑になり,既存の建物と同じようなボリユームを確保することができないため既存躯体を残し,改修した.
APPLAUSE AZABU SALHAUS
Tokyo, Japan
2012

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
1930の家 設計 宮部浩幸+吉里裕也/SPEAC
施工 ドロワ所在地 東京都世田谷区
東京都世田谷区に建つ,築83年の木造平屋家屋を賃貸住宅としてリノベーションした.柱と梁,柱と土台の接合部をダンパーで補い,耐震性能を上げ,もともとの土壁の竹小舞などを残すなど,既存の部材を再編することで建築の価値を上げている.
HOUSE OF 1930 SPEAC
Tokyo, Japan
2012

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
ALLEY HOUSE 設計 ビーフンデザイン+タスエス
施工 元気建設所在地 東京都江東区
幅員1.8mの路地に沿って建つ4戸の集合住宅.木造3階建て.一体のボリュームの中で住戸をらせん状に立体配置することにより,各住戸に3方向からの採光・通風が可能となり,密集地の中でも快適性を確保する.
ALLEY HOUSE BE-FUN DESIGN + TAS-S
Tokyo, Japan
2012

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
元麻布の集合住宅 sYms. 設計 仲亀清進建築事務所
施工 まつもとコーポレーション所在地 東京都港区
元麻布の住宅地に建つ2戸の集合住宅.鉄筋コンクリートラーメン構造の3階建て.四隅に配置された柱からX字を描くように梁を交差させ,天井と床を上下させてワンルームの中に4つのスペースをつくっている.
MOTOAZABU APARTMENT SYMS. KIYONOBU NAKAGAME ARCHITECT & ASSOCIATES
Tokyo, Japan
2012

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
港町駅前タワーマンション リヴァリエ A棟 設計 大林組一級建築士事務所
施工 大林組所在地 神奈川県川崎市
レコード会社工場跡地に開発中のタワーマンションの第1期.地下1階,地上29階建て.ラーメン架構と鉄筋コンクリート造の心柱という,揺れ方の異なるふたつの構造体を制振装置(オイルダンパー)で繋いだ連結制振構造(デュアル フレーム システム)を採用.今後同形状のタワーが2棟建てられ,保育園やクリニックなども同時に整備される予定.
RIVERIE A-TOWER OBAYASHI CORPORATION ARCHITECTS AND ENGINEERS
Kanagawa, Japan
2012

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
川崎市営河原町住宅耐震補強工事 設計 大林組一級建築士事務所
施工 大林・大末・相鉄・小俣共同企業体所在地 神奈川県川崎市
1972〜75年に建てられた高層住宅団地(設計: 大谷研究室,本誌7211,7410)の耐震改修.今回はそのうち,市営住宅4棟の耐震改修が行われた.団地の平行配置を活かし,2棟の間にブレースを設けて連結する「スキップブレース耐震工法」を採用.コスト削減や工期短縮にも寄与する.
KAWARAMACHI HOUSING SEISMIC RETROFIT OBAYASHI CORPORATION ARCHITECTS AND ENGINEERS
Tokyo, Japan
2012

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
GILIGILI 設計 納谷学+納谷新/納谷建築設計事務所
施工 剛保建設所在地 神奈川県川崎市
神奈川県川崎市に建つ2戸の賃貸住宅+オーナー住戸の6階建ての集合住宅.綱島街道の拡幅工事によってできた,街道沿いの奥行約5m,17坪の敷地に建つ.最高高18,825mm.振動,防音,水害への対策から1階から3階までを鉄筋コンクリート造とし,4階以上はスチールパネル構造.室内をより広く確保できるため採用された薄い構造体は,遮音性能にも優れている.
GILIGILI MANABU NAYA+ARATA NAYA / NAYA ARCHITECTS
Kanagawa, Japan
2012

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
谷中テラス 設計 aat+ヨコミゾ建築設計事務所
施工 新発田建設所在地 東京都台東区
東京都台東区に建つ9戸のコーポラティブハウス.設計開始時から,レクチャーやワークショップを行うことで,街や建築への理解と住人同士の関係をつくっていった.L字型の敷地に路地を引き込み棟をふたつに割った.
YANAKA TERRACE AAT + MAKOTO YOKOMIZO ARCHITECTS
Tokyo, Japan
2012

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
世田谷のコーポラティブハウス 設計 若松均建築設計事務所
施工 辰所在地 東京都世田谷区
世田谷区に建つ8戸のメゾネット形式の住戸からなるコーポラティブハウス.インテリアだけでなく,開口の大きさ,出窓や断熱の内外などなどスケルトンに関わる部分も個々の建主の希望に応えた.地下1階地上3階で,各住戸は地下1階+1階タイプと2階+3階タイプに分かれる.
COOPERATIVE HOUSE IN SETAGAYA HITOSHI WAKAMATSU ARCHITECT AND ASSOCIATES Tokyo, Japan 2012

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
森音テラス 設計 谷尻誠/SUPPOSE DESIGN OFFICE+大野博史/オーノJAPAN
施工 醍醐建設所在地 東京都世田谷区
等々力渓谷沿いに建つ分譲集合住宅.斜面地に2層分を埋め込み,住戸を渓谷の緑に近づけると共に,周辺の住宅ボリュームとも馴染ませている.内部は内側に床高を180mm上げたLDKを入れ子状に設ける.インナーテラスとすることで四季を問わず緑を近く感じられる.鉄筋コンクリート造,地下2階,地上2階建て.
MORINE TERRACE MAKOTO TANIJIRI / SUPPOSE DESIGN OFFICE + HIROSHI OHNO / OHNOJAPAN
Tokyo, Japan
2012

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
高野山ゲストハウス 設計 竹口健太郎+山本麻子/アルファヴィル
施工 木村工務店所在地 和歌山県伊都郡高野町
高野山に建つ簡易宿泊施設.宿坊の多い地域において,観光客が気軽に集い泊まることのできる場としてつくられた.山奥での施工のため,プレファブリケートされた2×4材による単純な木架構ユニットを現場で連結し構成している.
KOYASAN GUEST HOUSE KENTARO TAKEGUCHI + ASAKO YAMAMOTO / ALPHAVILLE ARCHITECTS
Tokyo, Japan
2012

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
共働学舎新得農場男子寮 設計 川人洋志+WanderArchi
施工 山田建設工業所在地 北海道上川郡
北海道上川郡にある,社会と距離を置いて生活を送らざるを得なくなってしまった人たちに向けて開かれた共働学舎新得農場の男子寮.自然の恵みを活かし,給湯や冬場の暖房は農場内の間伐材による薪ストーブでまかなわれている.
DORMITORY AT KYOUDOGAKUSHA SHINTOKU FARM KAWAHITO HIROSHI + WANDERARCHI
Tokyo, Japan
2012

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
鋸南町の合宿所 設計 吉村靖孝建築設計事務所
施工 網代工務店所在地 千葉県安房郡
旧千代田区保田臨海学園をコンバージョンし,合宿所として運営する施設のアネックス.将来的な移設も見越して,トラックでの輸送が可能な6×1.5間(約10.9×2.3m)の木造ユニット5棟を建設した.施設の状況に合わせて8棟まで増築が可能.すべての部屋から海が見えるよう,扇状に配置されている.
HOSTEL IN KYONAN YASUTAKA YOSHIMURA ARCHITECTS
Tokyo, Japan
2012

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
SUS静岡工場実験棟 設計 SUS
施工 落合組 美建所在地 静岡県静岡市
アルミ製ミニマル居住ユニットt2の集合タイプ(12戸タイプ).t2の活用方法のひとつとして提案された.ユニットはいつでも移設できることを前提に,鉄骨骨組みに差し込むだけのスケルトンインフィルの考え方を採用.クレーンでユニットとレールを吊り上げ,骨組みにスライドして挿入する.今後,施工性・居住性の検証実験を行う.家を固定物として捉えるのではなく,「部屋」という最小単位に切り分けて,家族構成や住む場所の変化によってユニットを増やしたり減らしたり,あるいは動かしたり,自由自在に居住スペースを構築することを目的としている.
SUS SHIZUOKA PLANT EXPERIMENT BUILDING SUS CORPORATION
Shizuoka, Japan
2012