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新建築 2003年11月臨時増刊 日本設計都市を再生する建築

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新建築 2003年11月臨時増刊

3,980 税込

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商品コード: 110311 カテゴリー:

250頁/221x297mm/A4変型/平綴じ

Content

「100 Solutions/都市を再生する建築」というテーマで,日本を代表する組織設計事務所である日本設計を特集しす.Solution(解決策)とはここではどういう意味なのか,簡単には答えられません.考えてみれば,ひとつのプロジェクトは,そのプログラムに対するソリューションそのものであり,同時に,何百ものソリューションの積み重ねがあって,初めてひとつのプロジェクトが成立するはずです.ですから,ご覧いただくように,ひとつのキーセンテンスで切り取ろうというのは,かなり乱暴な企てです.プロジェクトの内容をより明快に伝えることができますが,それだけでは,ソリューションを切り口にしたプロジェクト紹介に終わります.しかし,それを100並べてみたとき,もう少し別な見え方が出てくるのではないか.100のキーセンテンスは,編集の過程の中で,多くのディスカッションの末に見出されたものです.人びとがそこに暮らす都市とのかかわりの中での,建築のSolutionが何であったかが語られました.この総体の中に,組織としての多様さと,それぞれの担当者の豊かな個性を見出して頂ければ幸いです.(編)●序建築と都市とマネジメント(伊丹勝)

●論文日本設計はいま何を考えているか 建築・都市から経営まで(六鹿正治)

●折り込み日本設計の超高層

●対談都市のDNA (陣内秀信×六鹿正治)

●特別記事繁栄の時代の挑戦者 環境実験都市ハウステンボス(上之郷利昭)ハウステンボスFact Sheet

●CutUp西新宿の履歴書ファサードエンジニアリングの系譜動植物が共棲する人工環境産業技術総合研究所つくば研究センターの四半世紀日本設計の環境エンジニアリング都市計画への視座: 都市の交流・自然・風景を育む地球環境のために建築構造ができること病を癒す建築チーム制からチーフ・アーキテクト制へ 日本設計の経歴と作品年表日本設計の顔●Solution/Project01都市の軸をつかむ 汐留B街区02街のDIGNITYを再建する 旧新橋停車場03Night & Day 松下電工東京本社ビル04カドを活かす 汐留シティセンター+B街区共用部05西新宿/超高層街区の拡張 西新宿の超高層街区06アクティビティの背景となる建築 新宿アイランド07アートが都市を刺激する 新宿アイランド08光の都市 新宿アイランド09超高層ビルは壊せない 新宿三井ビルディング(リニューアル)10緑のドミノ 京王プラザホテル/新宿三井ビルディング111971年/都市はホテルから始まる 京王プラザホテル12どこまでも矩形 新宿モノリスビルディング13対角線上に開く エステック街区工学院大学/エステック街区エステック情報ビル14面の輻輳 ハーモーニースクエア15シルエットの個性 新宿マインズタワー16トリップ空間を挿入 新宿オークシティ17「輝ける都市」を目指して18「雪の日の啓示」19重要文化財特別型特定街区 (仮称)室町三井新館20連続と破調 日本橋一丁目計画21日本橋の再生 日本橋地域の再生計画 22移ろいを映し出す壁 品川インターシティ23r=1,500mの円弧でつなぐ 品川インターシティ/スカイウェイ24緑の緩衝帯/歩行者大空間 品川セントラルガーデン25ゲートをつくる 品川イーストワンタワー26スロー・プロジェクト 品川駅東口再開発27都市回遊の経路をつなぐ 渋谷マークシティ28パサージュ/街路景観の再生 パサージュガーデン渋谷29建築デザインと太陽光発電の融合 投資育成ビル/つくば研究センター産学官共同研究棟(つくばOSL)30プレステージオフィス since 1968 霞が関ビルディング(リニューアル)31呼吸するオフィス 茨城県市町村会館32原点としての「霞が関」33素材を生かしたカーテンウォールへの挑戦34都市に「山」をつくる アクロス福岡35都市を緑で冷やせ! アクロス福岡36光と風の方舟 アクアマリンふくしま(ふくしま海洋科学館)37自然と人工の複合モデル アクアマリンふくしま(ふくしま海洋科学館)38環境の時代の温室/水槽39チョウの舞う空間 多摩動物公園昆虫生態園40場のちからを形にする 海響館(下関市立しものせき水族館)41都市へDIVE! 読売広告社42散策路を建築に延長する 岩手県立美術館43水と美術館 長崎県立新美術館44隙間が場をつくる リバーウォーク北九州45一体感を生む仕掛け リバーウォーク北九州46「不思議」を現実化する 三鷹の森ジブリ美術館47細部から全体へ 三鷹の森ジブリ美術館48フレキシビリティが最先端研究を支える4921世紀型フレキシビリティ つくば研究センター産学官共同研究棟(つくばOSL)/つくば研究センター本部・情報棟50最先端技術の研究環境 つくば研究センタースーパークリーンルーム産学官連携研究棟51設備シャフトをガラスで覆う 産業技術総合研究所臨海副都心センター(臨海OSL)52ルーバーを纏う 糸満市庁舎53建築に光と風を誘う 糸満市庁舎54北側のアメニティ/アクティビティ 北九州市立大学国際環境工学部55自然通風の仕組み 北九州市立大学国際環境工学部56「開く」ための仕掛け 早稲田大学大学院情報生産システム研究科57中間期は空調しない 盛岡駅西口複合施設(仮称)58床の発明 マブチモーター新社屋59臨海に風景をつくる パナソニックセンター60環境対策が経済価値を生む61風土を再生する 鶴岡タウンキャンパス62棚田ビオトープ 中島町総合文化センター63都市の歴史と呼応する NHK大阪放送会館・大阪歴史博物館64寄り添い重なり合う曲面 NHK大阪放送会館・大阪歴史博物館65開放型へのコンバージョン キープ自然学校66激震に耐えたリニューアル 神戸郵船ビル(リニューアル)67曳家とレトロフィット 鹿児島県政資料館(旧鹿児島県庁舎移築・保存)68山岳都市のスカイライン 東京都立大学キャンパス69Atmosphereを継承し続ける 関西学院大学西宮上ヶ原キャンパス70点をつないで面を紡ぐ 洗足学園川崎キャンパス71伝統的古民家の再生 Ma邸/Mi邸72水辺のルネッサンス 大川端リバーシティ2173地上100mの快適な住まい 六本木ティーキューブ/赤坂一丁目計画74グリーンバレー/都市の谷間を反転する 春日町三丁目地区再開発計画75プロムナードにコミュニティを継承する 代官山アドレス76都市フロントとしての駅の再生 JRタワー(札幌駅南口総合開発ビル)77回遊する立体路地 ひぐらしの里78超高層としないSolution 芝三丁目東地区市街地再開発(セレスティン芝三井ビルディング)79住民が主役のまちづくり80風景を引き寄せる パークアリーナ小牧(小牧市スポーツ公園総合体育館)81大きな「天井」 味の素スタジアム(東京スタジアム)82ユニットで解く 千葉市総合スポーツ公園市民球技場(仮称)83プレキャストコンクリートの可能性 いわき平競輪場84風景に軟着陸 きらら元気ドーム(山口県立きららスポーツ交流公園多目的ドーム)85ユニットをリユース 山口きらら博集合館86自然素材のパビリオン 愛知万博長久手地区政府館87何もしない/アクティブ/パッシブ88ホリスティックデザインへ89視線をもっと遠くへ 金沢医科大学病院90内に開く 富山赤十字病院91新陳代謝する建築 川崎市立川崎病院92病は気から 公立置賜総合病院93すべてをつなぐ かみいち総合病院94曲線の優しさ 公立南砺中央病院95病院に街を持ち込む 新緒方町国保総合病院(仮称)96開かれた中心と多様なスペース 群馬県立がんセンター97窓際のデザインが重要98病院を社会に開く99組織の天才100社会につながる個人/組織Credits & Project Data編集後記書評:

都市感覚を鋭利に 松葉一清

(建築評論家)久しぶりにベルリンの市街を歩いて,次々と出現するオフィスビルを眺めながら考えた.東京の汐留などの高層ビルは,間違いなく「質」の点で優位にあると.もちろん景観を形成できなかった恨みは残るが,個々のビルについては一枚も二枚も東京のほうがうわてだ.アメリカとの比較はともかく,少なくともヨーロッパを圧倒している.そんなことを実感させたのは日本設計による汐留の「松下電工東京本社ビル」(本誌0304)に感心したからだ.過剰な表現はないが,2層吹抜けのアトリウムも,採光・通風のシステムも垢抜けし,外観にも抑制された美しさがある.これが今後の日常的水準なら,オフィスワーカーたちは今よりずっと幸福になるだろう.『日本設計 100 Solutions/都市を再生する建築』は,そうした生真面目なこの組織の実作を題材とするキーワードを集めた,いわば都市百科事典だ.松下電工のそれは「Night & Day」.時刻を追って姿を変える2層吹抜けの効用が端的に集約されている.100のキーワードを大判の迫力ある写真で視覚的に伝達しながら,最小限に抑制した作品解説,技術解説などを適所に配する構成は,何より眺めて楽しく,ページを追ううちに都市に対するさまざまな感覚が鋭利になっていく気にさせられる.資料的な側面が強くなりがちの大手設計組織の別冊特集では,異例の意欲的な構成といえよう.ケビン・ローチ,シーザー・ペリ,ジョン・ジャーディから隈研吾まで,個人建築家との共同設計の例も増えている.そうした状況の変化を自らを磨く機会ととらえる組織の若さが,随所から読み取れるのも興味深い.100のソリューションは,組織ならではの多様な人材を包容するスケールメリットがもたらしたものであり,その力は,海外で活躍する個人建築家と両輪をなす,日本ならではの大設計組織の存在意義でもある.そうした社会的な意味を実感できるのも本書に目を通す効用だ.(新建築2003年11月号書評より)