a+u2024年10月臨時増刊 槇文彦 ことばと場所 Fumihiko Maki: Words and Places
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本号は、去る6月6日逝去された槇文彦さんへの連続インタヴューと追悼エッセイからなっている。
連続インタヴューは、槇さんのオーラル・ヒストリー・アーカイヴの一環として始められた。槇さんの幼少期から今日までを時系列に沿って8回に区分し、それぞれの時代の代表的な作品を中心に、時々に観察され考えてこられたことをお話しいただくことにした。「私と仕事をともにする適切な規模のアトリエ事務所は一種の設計共同体として与えられたプロジェクトにたいして社会的責任を今日まで果たしてきたと思う」と槇さんが述べられたことを参照して、インタヴューはそれぞれ当時の設計担当者の方々にお願いし、プロジェクトの進行中でのやりとりの記憶なども加えた記録を目指した。2021年2月26日に開始された対談には、新型コロナ下において、また必ずしも万全ではないご体調のもとでも応えていただいたが、同年10月15日の第7回が最後の対談となった。
発端となった槇さんのオーラル・ヒストリー・アーカイヴの提案から、本号の編集に至るまで、小林博人さんに多大のご協力をいただいた。
槇さんの「ことば」は広く深い知識と人間性から発せられ、いつも建築と都市を考えさせるものだった。また「場所」とは、若き日々から訪れ観察され思索された街や地域のことであり、さらにはプロジェクトを遂行された世界のいくつもの場所のことでもある。(編)
槇文彦 連続インタヴュー
1 幼少期から留学まで
聞き手:松隈洋
2 アメリカでの近代建築体験、中東・欧州への旅、メタボリズム・グループへの参加
聞き手:小倉善明
3 日本で事務所開設、設計活動本格始動、Team Xとのかかわり
聞き手:長島孝一、中村勉
4 東京大学での教育・研究、ヒューマンな場所
聞き手:大野秀敏
5 ポストモダン時代のモダニティ、かたちと素材感
聞き手:山本圭介
6 集合体、時と建築、大学キャンパスの設計
聞き手:池田靖史
7 海外でのプロジェクト展開(2000年代を中心に)
聞き手:亀本ゲーリー
エッセイ
谷口吉生 インタヴュー:不断の交流と友情
聞き手:小林博人
森俊子 槇さんを偲んで
アンドレア・リアーズ 探求、そして発明
團紀彦 東京大学時代の槇文彦先生と私
小林博人 槇文彦 日常と姿勢
プロジェクト年表 1960 ~ 2024