佳作

(※登録番号順)

浅見泰則(東京工業大学大学院)

審査委員コメント

一般的な街並みでは,家型の中が内部で,家と家の間が空隙で外部になるが,それが反転して,家と家の間が内部で家型のほうを外部化している.これらが集合したときに,外部的な場所がおもしろくなると思う.

(山本理顕)

パースを見て,いろいろな草花の間を歩いているように,物の間を歩くという感じがおもしろいと思った.家をわざわざつくらずに,既存の家でできればよかったのではないか.内部がスパイラルの階段状になっている坂本一成さんの「HOUSE SA」を思い出した.家の中に物を棚状に置くことには独特の味わいがある.

(藤森照信)

高橋朋之(名古屋大学大学院)

審査委員コメント

物が外側にあり,それらが入れ子状になっている.街の中にこの住宅のような,物が集まり,ときにマーケットにもなるし,ときに個人的な店にもなるという場所が準備されているということはおもしろいと思う.

(山本理顕)

家がいろいろな店に変わっていくようにするためには,具体的にどのようなシナリオがあればよいのか.空間はおもしろいが,話の設定にもう少しリアリティをもたせてほしかった.

(千葉学)

坪沼一希(早稲田大学大学院)
五ノ井麻衣(日本女子大学大学院)

審査委員コメント

テーブルは曲線で,地下の収納が直線なのはなぜか.収納は地下深く潜っていくとすると,もし,車椅子の高齢者だったらどうするのか.必ずしも住宅の中のすべての場所にバリアフリーで行ける必要はないが,住宅に高齢者がのんびり住める救済策があるとよい.

(山本理顕)

ロの字型のテーブルの内側に行くにはどうするのか,議論になった案だ.少しわかりにくかった.

(藤森照信)

テーブルづたいに行為を展開していくと,行けないところが出てくるが,それは意図的なのかどうか疑問だった.テーブルをきっかけにした行為をテーマにしていたのだから,そのあたりをもう少し丁寧に設計するとよかった.

(千葉学)

廣岡周平 浅川智寛 白石京士 水野貴之(以上4名,関西大学)

審査委員コメント

横浜国立大学大学院の入試問題の設定をそのまま使っているのが残念.与条件に応えるだけではなく,自分たちなりの問題をつくっていくのがコンペである.そこを考えてほしかった.ただ,この提案が街に広がっていくのはおもしろい.

(山本理顕)

高齢化した人たちの住まい方を,具体的な空間の問題としてきちんと考えていたのはよかった.

(千葉学)

石橋慶久 岡本陽平 川崎啓介(以上3名,立命館大学)

審査委員コメント

燃やすという行為はシンボリックなイメージを起こさせるものだが,焼却炉というと意味が違う.ポエティックなイメージと社会的な建築とをあまりにも簡単に結びつけている.もう少しうまく関係がつくれるようなカラクリが必要だ.

(山本理顕)

捨てるには忍びないが,焼却炉で物を燃やすことで許せるような心情は確かにわかる.ただ,既存の住宅が,地域に開かれていく施設としてどのような空間的仕掛けをしたかの具体的な説明がほしかった.

(千葉学)

田村健一郎 松下広輝(以上2名,北九州市立大学大学院)

審査委員コメント

必要のない物をしまっているとき,その収納がガラス開口の出窓になっていることで外側から見えるという案だが,それによって街とどういう関係をつくり出せるのかわかりにくい.つながっていることの積極的な意味が見つけられるとおもしろくなると思う.

(山本理顕)

顕微鏡で見る単細胞生物のようなプランはおもしろい.絵のイメージはよく伝わってきた.

(藤森照信)