a+u 2025年6月号 特集:青木淳 ミュージアム Feature: Jun Aoki Museum
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青木淳のモノグラフである。
青木は、住宅や公共建築、商業建築など、多岐にわたる建築で知られる、日本を代表する建築家である。また、それら実作を通して語られる、批評性に富む言説に喚起される者は数多い。その中で、今号は青木のアートにまつわるプロジェクトのみを取り上げる。
青木の建築は、どんな用途であっても様々な使われ方に対して寛容であり、不確実な関係性に向かって開かれている。それは、均質で一様な風景をつくり出すこととも、個人の強いメッセージを示すこととも一線を画す、人間それぞれがもつ価値観や速度が混在した、矛盾やブレを許容する建築といえる。そしてそのプロセスは、目的地(コンセプト)に向かってまっしぐらに進んでいくものではない。様々な立場や年代、職能をもった協働者と共に、常識や先入観を極力外し、見たことのない世界へ行き着こうという希求によって生み出される。青木は、いちばんそれが現れるのが「Museum」だというのである。日常生活から湧きでてくるものが重なって文化となり、やがて「Museum」ができていく。それは誰にもどこでも開かれている存在なのだという意図も込められている。
今号で取り上げるプロジェクトは、公共の美術館をはじめ、ギャラリーや展示構成、アートワークなど幅広い。それらは、そこにおく作品ごとに、訪れた人ごとに、その日その時間何かが起こるごとに、そのための空間に変容していく。そのどこまでも広がるイメージを包摂する25のプロジェクトを、青木が今号のために書き下ろした論考と解説と共に紹介する。この先の自由を示す建築の可能性を見ていただきたい。 (編)
はじめに
京都市美術館(京都市京セラ美術館)
ヴィクトリア&アルバート美術館増築プロポーザル案
テロのトポグラフィープロポーザル案
新福岡県立美術館プロポーザル案
滋賀県立近代美術館プロポーザル案
エッセイ 中立点
TARO NASU 大阪、TARO NASU バンビ
TARO NASU
シュウゴアーツ
「赤と青の線」
「言語と美術──平出隆と美術家たち」
岡山ハウス
ぼよよん土管
U bis
「丸山直文 水を蹴る──仙石原──」
「そこに光が降りてくる 青木野枝/三嶋りつ惠」
「近藤亜樹:我が身をさいて、みた世界は」
エッセイ 無化への改装
青森県立美術館
「[帝国ホテル二代目本館100周年]フランク・ロイド・ライト
世界を結ぶ建築」
「はっぱとはらっぱ」
エッセイ 動線体、再び
テンポラリーなリノヴェーションとしての展覧会
シン・マサキキネンカン
鳥は泳ぎつづける
HAPPY TURN
雲と息つぎ
ラビットホール