集合住宅をユニットから考える 著者: 渡辺真理、木下庸子
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本書は,戦後日本の住まいを,集合住宅という側面から多様な軸で再考するものです,nLDKに画一化されていた集合住宅市場がデザイナーズマンション人気などにより多様化へ加速し始めた2000年,ユニット平面を並べることで何かが見えるのではないかという企画で,『新建築』誌にて連載「集合住宅をユニットから考える」がスタートしました.以降,計12回にわたり著者の渡辺真理+木下庸子両氏がさまざまなテーマで建築家にインタビューをし,ユニット平面・写真と共に掲載してきました.その全編を書籍化するにあたり,建築家北山恒氏,西沢立衛氏との座談会,近作の集合住宅を加え再構成しました.51C型や「晴海高層アパート」など1950年代の作品から現代の話題作まで100を超える作品を収録し,設計当時の逸話や建築家の設計思想を解き明かしています.また1980年〜1990年代の作品は,2章にわたって約50作品の平面を並べることで,時代性や多様性が見えてくるものになっています.「集合住宅」というビルディングタイプをタイトルに冠しつつも,単一機能の建築物の形式だけを探るのではなく,建築や都市全般について,多角的な視点からの著者のメッセージが込められています.集合住宅を設計する建築家のみならず,企画運営する不動産関係の方など都市のつくり手全般に,ご一読いただきたい書です.(2006年3月刊行)