a+u 2006年10月号 テンポラリー・アーキテクチュア3題 + ルクセンブルグの建築 3 Temporary Works + Architecture in Luxembourg
Content
表紙: レム・コールハース+セシル・バルモンド設計、サーペンタイン・ギャラリー・パヴィリオン2006。 撮影: イワン・バーン。
特集1: テンポラリー・アーキテクチュア3題
特集2: ルクセンブルグの建築
カレンツ:
ヘルツォーグ・アンド・ド・ムロンによるテート・モダンの改修計画
ザハ・ハディッドがドバイにオフィス・ビルをデザイン
ジャン・ヌーヴェル
ガスリー劇場
アルヴァロ・ホアキン・メロ・シザ・ヴィエイラ
リベッラ・セッラーロのスポーツ施設
特集1: テンポラリー・アーキテクチュア3題
可動性、軽量性、低コストなど様々なイメージのあるテンポラリー・アーキテクチュア──仮設建築であるが、恒久的な存在であることが求められる「建築」とは違い、その重圧から解放されることで、豊かな表現を身にまとっている。期間が限られているから、建築的性能を飛び越えた実験的な素材や工法を試みることができ、しかも、予算も限られているので、明快な表現をつくりださねばならない状況に置かれている。ここで紹介している3作品は、違った条件、違った環境が与えられているが、制限の多いプロジェクトであるからこそ、贅肉をそぎ落とした美しさが感じられる。テンポラリー・アーキテクチュアから建築の原点を見いだせるのかもしれない。
ヘルツォーグ・アンド・ド・ムロン
プラダ・インプロバブル・クラシックス──プラダ・テンポラリー・ストア
レム・コールハース+セシル・バルモンド
サーペンタイン・ギャラリー・パヴィリオン2006
OBRAアーキテクツ
ビートフューズ!──MoMA/P.S.1若手建築家プログラム
特集2: ルクセンブルグの建築
ルクセンブルグでは、国自体のサイズが小さいこと、また都市数も限られたことから、国レヴェルでの大規模な都市計画が行われたことはない。その代わり、国内の都市はドイツのトリーア、ザールブリュッケン、またフランスのメスとの間でクァットロポール・アーバン・ネットワークを結成し、国境を越えた協力関係の中で経済力と資源とを確保する努力が行われてきた。しかし、ルクセンブルグ政府は来るべき都市問題に備えて複数の基金を設立し、ルクセンブルグ市のキルヒベルグ平原における都市開発を決定した。こうして、それまで農耕地帯であったキルヒベルグは、1950年代以降大きく変化することになった。EUの主要機能を置く場所として選出されたことで、複数の著名な建築家のチーム*によって、歴史的都市の枠組みを超えた成長にともなうニーズにこたえるべく活発な都市ネットワークが形成されることになるのである。次の段階では、キルヒベルグの定住人口を確保することが大きな目標である。現在この都市の労働力人口はおよそ20,500人であるが、居住者は2,000人ほどしかいない。増えつつある第三次産業とのバランスをとるべく、開発計画は居住空間の確保を重要な焦点として進められている。
エッセイ: 段階的進化を遂げた都市計画──キルヒベルグ平原
キルヒベルグ基金+ヘラ・ファン・サンデ
クリスチャン・ド・ポルザンパルク
ルクセンブルグ・フィルハーモニック・ホール
ペイ・コブ・フリード・アンド・パートナーズ
グラン・ドュック・ジャン近代美術館MUDAM
シュメルウィルツ・アーキテクツ/ジョルダン・アンド・ミュラー
ルクセンブルグ・キルヒベルグ会議場
RKW・ロード・ケラーマン・ワフロフスキー・アルヒテクトゥール+シュタットバウ
IKBインターナショナル
CBA・クリスチャン・バウアー・アンド・アソシエ・アルシテクト
国立歴史芸術博物館
エッセイ: キルヒベルグ地区の開発について
イナ・ノットロト
ルクセンブルグ市建築案内
インゲンホーフェン・アーキテクツ
欧州投資銀行
ドミニク・ペロー
欧州裁判所
ボレス+ウィルソン
ルクセンブルグ国立図書館
ロブ・クリエ・クリストフ・コール・アーキテクテン
司法省
インタヴュー: ミッシェル・プランシェール・トマシーニ/駐日ルクセンブルグ特命全権大使に聞く
連載: 進化するワークプレイス──第3回分散するワークプレイス──情報通信技術によって広がるオフィス
岸本章弘
書評: 『KM3: Excurisions on Capacities』MVRDV著