a+u 2018年3月号 新しい歴史の創造──第2回シカゴ建築ビエンナーレのその後 Make New History - After The Second Chicago Architecture Biennial
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シカゴは摩天楼の発祥の地であり、フランク・ロイド・ライトやミース・ファン・デル・ローエと縁が深い場所である。その豊かな文化的土壌を背景に、シカゴ建築ビエンナーレは建築や芸術文化の観光産業における経済の活性化が目論まれ、2015年に第1回が開催された。第2回となる今回は「新たな歴史の創造」をテーマに20ヵ国から140人の建築家やアーティストが召集された。本号は、第2回シカゴ建築ビエンナーレの芸術監督をつとめたシャロン・ジョンストンとマーク・リーをゲスト・エディターに迎え、「新たな歴史の創造」というテーマの展開を試みている。前編はゲスト・エディターと建築史家のマイケル・ヘイズが巻頭鼎談で今回のシカゴ建築ビエンナーレを振り返ることから始まり、展示を概観する。後編は、本号の特集にあわせてゲストエディターと参加建築家によって選ばれた実作およびプロジェクトを紹介する。また建築家にとってのこのビエンナーレの今日的意義を考察するため、彼らが「新たな歴史の創造」や新しい歴史をつくることをどのように受けとめ、日々の思考や活動にどう関連づけているのか、質問を投げかけた。こうして建築家が自身で見いだした歴史を、どのように理解し建築活動へ組み込んでいるのかに目を配り、それらに流れる通奏低音に耳を傾けようとした。歴史に直面した際に建築家が参考にしたものはマスターピースに限らず、これまで着目されてこなかった名もなき物体や、普遍的な幾何学など、実に様々であった。それは結果的に、彼ら自身が建築に向き合う際に直面している課題や、彼ら固有の関心の断片をあぶりだしているのではないだろうか。(編)
表紙:
ジェームズ・ウェリング「8183」、2016年、昇華式プリント、23×34 インチ(58.4×86.4 センチ)。
特集:
新しい歴史の創造──第2回シカゴ建築ビエンナーレのその後
イントロダクション:
新たな歴史の創造シャロン・ジョンストン& マーク・リー
シカゴの都市景観
第2回シカゴ建築ビエンナーレ
鼎談:
コンテクストから自律性へ、オブジェクトからフィールドへ、そして元に戻る
マイケル・ヘイズ、シャロン・ジョンストン& マーク・リー
垂直都市
シカゴ・トリビューン設計競技 1922 / 1980
タチアナ・ビルバオ・エストゥディオ
プロダクトゥーラ
MOS
セリエ・アーキテクツ
6aアーキテクツ/クリスト・アンド・ガンテンバイン
水平都市
ビューロー・スペクタキュラー
アーバン・ラボ
MAIO
チャーラップ・ハイマン&エレーロ
ザウター・ヴォン・モース
カラモック* クオ・アーキテクツ
ウェルカムプロジェクツ
「新たな歴史の創造」展示風景
フリーダ・エスコベド
バウクゥー
ペソ・フォン・エルリッヒスハウゼン
スタジオ・ムンバイ
SO-ILとアナ・プリヴィアッキ
SANAA
シルヴィア・レヴィン、エリン・バスラー、ジェシカ・コランジェロ、ノーマン・ケリー
モナドノック
アーキテクテン・デ・ヴィルダー・ヴィンク・タユー
ポール・アンダーソンとポール・パイズナー
MG&Co.
展開された場における新たな歴史の創造──「新たな歴史の創造」の観点から選ばれたプロジェクト
イントロダクション:
シャロン・ジョンストン& マーク・リー
質問:あなたにとって「新たな歴史の創造」とは何を意味しますか?
タイポロジーの転用
6aアーキテクツ
ケンブリッジ大学チャーチル・カレッジ
コーワン・コートクリスト・アンド・ガンテンバイン
リスト・カスタマー・センター
オフィス・ケルステン・ゲールス・ダヴィッド・ファン・セーヴェレン
オフィス152: インキュベーター
サージソン・ベイツ・アーキテクツ
ウェルカム・センターとオフィス・ビル
ZAO /スタンダードアーキテクチュア+エンバイシャダ
ニャンゴウ・ボート・ターミナル
先例の流用
51N4E
スカンデルベグ広場プロジェクト
アーキ・ユニオン・アーキテクツ
Chi She
バウクゥー
思い出の家
カルソ・セント・ジョン・アーキテクツ
ブレーメン・ランデス銀行
ディエゴ・アライガーダ・アルキテクトス
煉瓦の家
モナドノック、アトラス・ハウス
新・原始様式
アーキテクテン・デ・ヴィルダー・ヴィンク・タユー
見た目が悪いからこそ見た目がいい
長谷川豪建築設計事務所
経堂の住宅
ペソ・フォン・エルリッヒハウゼン
ローデ・ハウス
アイザック・ブロイド+プロダクトゥーラ
テオパンソルコ文化センター
パスカル・フラマー
トーミ・ハウス
MOS
No.7ハウジング(アーティスト・レジデンス)
再建、再利用、再生加工
アバロス・アンド・シンケヴィッチ
プランタ・プロジェクトの本館
アダモ・ファイデン
ブラス・ハウス
アンサンブル・スタジオ
キュクロプスの家
キューン・マルヴェッツィ
ハウス・オヴ・ワン
ザウター・ヴォン・モース
一本の木と住宅
インタヴュー:
都市にたいする敬意─高松宮殿下記念世界文化賞受賞に際して、訪れた東京で
ラファエル・モネオ
聞き手: アンジェラ・パン、セン・クウァン