a+u 2022年2月号 特集:ベルナルド・バーダー Feature: Bernardo Bader
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『a+u』2月号はベルナルド・バーダーを特集する。バーダーはオーストリアの美しきフォアアールベルクに生まれ育ち、2003年に設計事務所を設立、彼の地を遠く離れることなく設計を行なってきた。ブレゲンツァーヴァルトの村々と谷を舞台に、バーダーは優れた作品群を次々につくりだしてみせる。自邸「沼地のそばの住宅」のためには60本のトウヒ、モミ、ニレの木々が伐採されたが、これらは余すところなく構造体、壁、家具など、建物へと変換された。現場で採掘された土は固め、乾燥され、煉瓦として使われた。この「実行」することの価値、すなわち献身からくる説得力は地域の特質をよく象徴している。バーダーの建物は一見するとありふれてみえるかもしれない、はるか昔からそこにあるのだと。しかし、よく見れば同時代性や明るさ、新しさを醸しだしていることがわかるだろう。巻頭エッセイでアーノ・リッターは、バーダーの建物を体験することを記して、「地域の歴史との対話、各クライアントの物語への応答」そして「ランドスケープや建築の文脈への呼応」を感じることであると述べている。さらにフロリアン・ザウターによれば、バーダーは「美学的な意味」を求めるのでなく、「よけいなものや些末なものをひとつひとつ削ぎ落とし、必要不可欠なものだけに絞り込んだ」結果つくりだされた「静謐で明快」ともすれば「アノニマス」な建築を目指している。敷地広域をとらえた写真や詳細図面などとともに16作品を掲載、バーダー作品の場所性やその質を紹介する。 (編)
エッセイ
日々の詩情の上に
アーノ・リッター
沼地のそばの住宅
イスラム墓地
草原の家
カルトシュミーデンの住宅
スシ・ヴァイゲル幼稚園
ショープファッカーの住宅
スキー・ロッジ・ウルフ
シュタインベルク村の家
ダック・クリークの子どもの家
ザルゲンロイト礼拝堂
シュトゥルヒャーヴァルトの家
クロスターガッセ・スタジオ
山岳スポーツ・センター
イグラッセ・ハウス
ライヒスホーフ・スタジアム
ライン橋アウ=ルステナウ
エッセイ
批判的明快さ
フロリアン・ザウター
追悼:
リチャード・ロジャース(1933~2021)